[チューリッヒ 9日 ロイター] - スイスの金融大手クレディ・スイス・グループは9日、2022年の赤字が08年の金融危機以来の高水準になったと発表した。不祥事や業績の低迷で顧客の流出が前例のない規模に膨らんだ。今年も「かなりの」損失が発生すると警告した。

クレディ・スイスの株価は序盤の取引で2.5%下落している。

第4・四半期は13億9000万スイスフラン(15億1000万ドル)の純損失となった。同行がまとめたアナリストの予想(13億4000万フランの赤字)とほぼ一致した。

前年同期は20億フランの赤字だった。22年通年では72億9000万フランの純損失で2年連続の赤字となった。

同グループの純資産は過去3カ月で1105億フランの純流出となった。ただ状況は改善していると指摘した。

中核のウェルス・マネジメント部門では927億フランの資金流出となり、アナリスト予想の619億フランを大きく上回った。この結果、同部門の運用資産残高は5405億フランとなった。

ウェルス・マネジメントと投資銀行部門は第1・四半期に損失を計上する可能性が高いとした。

キーフ・ブリュエット・アンド・ウッズのアナリスト、トーマス・ハレット氏は顧客向けリポートで、クレディ・スイスの業績は「懸念されていたよりもさらに悪く、資金流出も驚くべき水準だった」と指摘。「23年も大幅な損失が続き一段の格下げが予想されるため、同行の株式を保有する理由はないとみている」と述べた。

ボントベルのアナリスト、アンドレアス・ベンディッティ氏は「(昨年は)クレディ・スイスの167年の歴史の中で、明らかに最悪の年の一つ」とし、早期の回復は見込みづらいとの見方を示した。

12月末の中核的自己資本(CET1)比率は14.1%と9月末の12.6%から上昇した。アナリスト予想は13.8%だった。

クレディ・スイスはまた、元取締役のマイケル・クライン氏の顧問会社を1億7500万ドルで買収したと発表した。同行の投資銀行部門であるCSファースト・ボストンに統合される。