[キーウ/ロンドン/パリ/ベルリン/ラルワースキャンプ陸軍基地(英国) 8日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、英国を訪問し首相官邸でスナク首相と会談したほか、英議員らを前に演説を行い、ロシアの侵攻に対する西側諸国の軍事支援の拡大を呼び掛けた。英国は北大西洋条約機構(NATO)の最新戦闘機でウクライナ軍のパイロットを訓練すると確約。西側の軍事的支援の象徴的な一歩となった。

ゼレンスキー氏の訪英は、昨年2月24日のロシアによる全面侵攻開始以降で、昨年12月の訪米に次ぐ2回目の外国訪問。9日にはブリュッセルを訪問し、欧州連合(EU)首脳会議に出席する。

ゼレンスキー氏はスナク首相との会談で「われわれの生涯で最も重要な勝利に向かって一緒に行進している」とし、英国の支援に謝意を表明した。

同時に、戦闘機を「自由のための翼」と呼び、ウクライナへの供与の必要性を改めて強調。数百人の英議員らを前にウェストミンスター・ホールで行った演説で、ウクライナは「われわれを守るパイロットに力を与え、守るために、世界から最新の航空機を提供させるために可能なことを全て行う」と述べた。

英首相府はゼレンスキー氏が到着する直前、ウクライナに対する軍事訓練プログラムを空軍にも拡大し「将来的にパイロットがNATO規格の高性能戦闘機を操縦できるようにする」と発表。時期を特定しなかったほか、戦闘機の提供を確約しなかったものの、ウクライナ支援に対する姿勢が変化していることが示され、他の国による戦闘機供与に道を開く可能性がある。

スナク首相はゼレンスキー氏との共同会見で「先進的な航空機を提供するためにはまず、それを使える兵士やパイロットの確保が必要だ。そのプロセスには時間がかかる。われわれは今日、そのプロセスを開始した」と述べた。

英国はまた、ウクライナが激化するロシアの攻勢をかわすために軍事物資の提供を直ちに開始すると表明した。

スナク首相の報道官は、英国が供与できる可能性がある戦闘機について国防相が調査すると言明。「ただ、これは長期的な解決策であり、ウクライナが今最も必要としている短期的なものではない」とした。

これに対し、タス通信は在英ロシア大使館の話として、英戦闘機のウクライナへの供与は軍事的・政治的に深刻な影響を及ぼすと警告した。

ゼレンスキー大統領は英議員に対する演説を「力強い英国の航空機に事前にお礼を言う」と述べて締めくくった。

ゼレンスキー氏はバッキンガム宮殿でチャールズ国王とも面会。チャールズ国王は「われわれは皆、ゼレンスキー氏のことを心配し、ウクライナのことを長い間考えてきた」と述べた。

ゼレンスキー氏は英国で訓練を受けているウクライナ兵にも会う。

8日夕にはパリに移動。これに合わせドイツのショルツ首相がパリを訪問し、フランスのマクロン大統領と3者会談が実施される。

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