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米国のシンクタンク、 C4ADSによる調査報告です。
 C4ADSは、ロシアの税関が公表している8万4000件の中国からロシアへの輸出について調査しています。

開戦以来、ロシアと中国の間の貿易は急増していますが、中国からロシアへの輸出が急増している民生品、たとえば輸送車両やタイヤなどでも、軍事的に使用が可能である、というのは従来からわかっていることです。
 それから、半導体やカメラ、センサー、その他電子機器用の部品がロシアの兵器増産に使われているであろうことも、推測はされていました。
 そのような民生品は、中国だけではなく、トルコやUAEからもロシアへ輸出されています。

C4ADSの調査は、さらに、2022年後半に中国の国営兵器製造企業(保利科技有限公司、中国航空工业、中国天利航空科技实业、等)から、ロシアの国営兵器製造企業(Rostec、Kret、JSC Rosoboronexport等)に、戦闘機や軍用ヘリ、戦闘車両の部品を供給していることを、具体的に特定しています。
 間にウズベキスタンの商社を通すなどして、一見、わかりにくくなっています。また、民間企業ですが、寶鋒電子などの商社も兵器部品の輸出に関与しています。

国営企業がいくつも関与していて、中国政府の意向が反映されていない、ということは考えられないでしょう。
 中国の国営企業がロシアの国営企業に兵器の部品を輸出して、何か法律に違反するかというと、そういうことはありません。
 ただし、米国政府やその同盟国が、これらの中国国営企業に制裁を課す、ということはありえます。

https://www.wsj.com/articles/china-aids-russias-war-in-ukraine-trade-data-shows-11675466360?mod=e2tw&mg=prod/com-wsj
欧米の制裁対象でも、中国は参加していないわけです。したがって、経済的に成り立つ貿易なら、中国は輸出をするでしょう。

しかしながら、それが「支援」かというと、疑問符がつきます。中国のHSコードベースの統計を分析する限りでは、特に作為的な動きは確認出来ませんでした。

政策志向が強い(ので色も強い)米国のシンクタンク発ですし、ニュートラルな立場から、多角的視点で考えてみたいところです。私の関心は規範科学や概念法学とは異なり、客観的な経済分析にあります。
WSJの報道に寄ると「欧米による制裁対象となっているロシアの複数の国営軍需企業に対し、中国企業が戦闘機の部品や電波妨害機器などの軍用品を輸出し、ウクライナ侵攻を支援している」とのこと。中国を抜け穴として制裁を回避している実態が浮かび上がってきています。