[キーウ/アムステルダム 3日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、首都キーウ(キエフ)で欧州連合(EU)のミシェル大統領と欧州委員会のフォンデアライエン委員長らと会談した。ウクライナは早期のEU加盟を希望しているが、EUは「厳格な期限はない」と表明。ゼレンスキー氏はロシア軍に反撃するための長距離兵器の供与を訴えた。

ウクライナ国内でEUとウクライナの首脳会議が開かれるのは、2022年2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始して以来初めて。東部ドネツク州の要衝バフムトを中心に激戦が続き、国内で空襲警報が発令される中での開催となった。

ゼレンスキー大統領は首脳会談後の共同記者会見で「兵器の供与、特に長距離兵器の供与が早期に実現すれば、ウクライナ軍はバフムトから撤退しないだけでなく、2014年から占領されているドンバス地域を奪還し始める」とし、「激しい戦闘が続くバフムトでウクライナ軍は数カ月間持ちこたえている。バフムトは手放さない。バフムトはウクライナの要塞だ」と述べた。

ウクライナはロシアによる侵攻開始後、直ちにEUに加盟を申請。早期の正式加盟交渉の開始を望んでいる。ゼレンスキー氏は首脳会談後のビデオメッセージで「ウクライナは年内に加盟交渉を開始できると理解している」と述べた。

ただ今回の首脳会議でEUは早期加盟を確約せず、フォンデアライエン委員長は記者会見で「厳格なスケジュールはないが、到達しなければならないゴールはある」と述べるにとどめた。

フォンデアライエン氏はEUの対ロシア制裁について「制裁措置第9弾は効果を発揮しており、第10弾が用意されている。パートナーとともに、ロシアがウクライナの市民を殺害し、住居を破壊する手段を奪わなくてはならない」とツイッターに投稿。新たな制裁措置は、ロシアの戦争遂行を支える貿易と技術を標的にしたものになると明らかにした。