[東京 30日 ロイター] - KDDI<9433.T>が30日発表した2014年4─12月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年比9.7%増の5850億円となり、4─12月期として2年連続で過去最高となった。携帯電話サービス「au」のスマートフォン(スマホ)と固定通信サービスとのセット割引が好調で、契約者が増加。スマホ比率上昇によるデータ通信収入の増加が音声収入の減少を補い、収益を押し上げた。

売上高に相当する営業収益は前年比5.4%増の3兆3519億円に拡大した。会見した田中孝司社長は「通期の営業利益『2期連続の2桁成長』に向けて順調な進ちょくとなった」と総括。通期の営業利益予想は前年比10.1%増の7300億円で据え置いたものの、「内部計画上は若干上振れしており、今期の予想はしっかりと達成できるのではないか」と自信を示した。

会社予想はトムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト22人の予測平均値7547億円を下回っている。

<ドコモのセット割「大きな影響ない」>

KDDIのセット割引「auスマートバリュー」は加入者獲得の原動力となっているが、前日にはNTTドコモ<9437.T>が、きょうはソフトバンク<9984.T>がNTT<9432.T>東西会社が提供する光回線のサービス卸を利用して同様の割引サービスを開始すると発表、競争激化が避けられない情勢になってきた。

これについて田中社長は「大きな影響がすぐに発生するかというと、そうではないのではないか」との見方を示し、その理由として、1)具体的なガイドラインがまだ固まっていない、2)運用ルールがまだ整備されていない──などを挙げた。料金水準からみても「そうやすやすと追いつかれないだろう」と自信を示した。

12月末現在のスマホ比率は52.7%と、9月末の51.6%から上昇した。10─12月期の新規契約から解約を差し引いた純増数は前年比37%増の78万件だった。

10─12月期のARPU(加入者1人あたりの月間平均収入)は4250円。前年同期の4240円からは小幅上昇したものの、7─9月期の4280円からは低下した。この理由について、田中社長は「(新料金プランの)カケホとデジラで若干低いデータのところが多く、若干弱含んだ」と説明した。

前日に決算を発表したNTTドコモは.新料金プランが重しとなり、4期連続の営業減益となった。事実上の強制で新料金プランへの移行を急ぐドコモと、旧プランも選べるようにしたKDDIの明暗が分かれた格好だ。

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(志田義寧)