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日銀はYCCの再修正急がず、12月決定の影響と効果見極め-関係者
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YCCは「持続可能」と黒田総裁、共通担保オペの効果に疑問の声も
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長期金利が0.505%に上昇、日銀YCC上限を3営業日連続で超える
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日銀の金融政策変更「次の一手」は、YCC撤廃や政策金利引き上げか
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長期金利が0.51%に上昇、日銀YCC上限を4営業日連続で超える
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GPIF理事長「国内債券運用にも影響」、日銀のYCC修正受けて
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中央銀行の調達の大半は短期の当座預金ですので、中央銀行による長期資産の買い入れは、「短期調達・長期運用による長短ミスマッチリスクを中銀B/S上に抱え込む」ことになります(だから異例の政策であるわけです)。
これを償却原価法で評価した場合、(総裁答弁の通り、)たしかに「期間損益」には直接には影響しにくいといえます。
真のリスクは、「先行きの不確実性に対処しなければならない」という、政策運営に関わる部分です。
例えば、30年物国債を買ったとして、今後30年間ゼロインフレが続き当座預金金利(政策金利)もゼロであれば、何も起こりません。しかし、先行き30年となれば、その間に、インフレ圧力が高まり、その対処として政策金利を引き上げざるを得なくなるケースも考えられます。この場合、「長短ミスマッチリスクの顕在化」という形で中銀収益が悪化することになります。
(より直截には、過剰流動性吸収のために中央銀行が国債をアウトライトで売却すれば、より見えやすい形で収益への影響が生じ得ますーこれは現実には考えにくいでしょうが。)
中央銀行収益を巡る議論はとかく複雑でわかりにくいのですが、報道も含め、より理解が深まっていくことを望みます。
とはいえ日銀が金利の抑制を続けることが出来る限り、損失が一気に表面化して大騒ぎになる可能性は低いように思います。日本のインフレ率が欧米並みに高まって日銀が政策金利を引き上げて対応せざるを得なくなったりすると、日銀が持つ低金利の国債と準備預金に付すべきすべき金利のギャップといった形で損失がじわじわ表面化するわけですが、これは多くの人が気付かないまま政府の負担になって、税金と社会保険料で国民に静かに付け回しされることになるでしょう。
兆円単位の話が飛び交う予算委員会で保有国債の評価損が8.8兆円と耳にしても、そのあたりの構図がきちんと伝わらないと、ふーん、そんなものか、程度に捉えて見過ごす人が多いんじゃないのかな。本当は大変なことなんですけどね (^^;
本記事は、あくまで「時価評価をしたら」という仮定に基づいたものです。
日銀はいいとして、国債を大量に保有している民間金融機関は大丈夫なのでしょうか?
金額が大きいヘッドラインにしたいというメディアには意味があるのかもしれませんが。