国際人権団体、ウクライナに軍の対人地雷使用巡り調査要請
Reuters
2023/02/01
[ニューヨーク 31日 ロイター] - 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は31日、ロシア軍がウクライナ東部の都市イジュームを占領していた際、ウクライナ軍が同市周辺で数千個のロケット発射型対人地雷を使用した可能性について調査するようウクライナに求めた。
HRWは、対人地雷は民間人と戦闘員を区別できないため、その使用も国際人道法に違反すると主張している。
HRWの武器部門責任者のスティーブ・グース氏は「ウクライナ軍はイジュームの広範囲に地雷を撒いたようで、民間人に犠牲者を出し、継続的なリスクをもたらしている」と指摘した。
HRWはウクライナに侵攻したロシア軍による対人地雷使用に関する報告書を昨年に3件出したとしている。
グース氏は「ロシア軍はウクライナ全土で対人地雷を繰り返し使用し、残虐行為を行ってきたが、だからといってウクライナによるこの禁止兵器の使用を正当化することはできない」と述べた。
ウクライナは「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びにその廃棄に関する条約」(1997年)の締約国。ロシアはこれに加盟していない。ロシア政府は、民間人を標的にしたことや戦争犯罪を犯したことを否定している。
HRWによると、ウクライナ国防省高官は昨年11月24日付の書簡で軍が国際人道法と1997年の対人地雷条約を厳格に順守していると説明したという。
ウクライナ外務省は31日発表した声明で、「関係機関が適切に分析した」報告書をまとめる方針を示した上で、HRWにロシアに対して戦争終結に向けた圧力を強めることを期待すると述べた。
HRWは昨年9月19日から10月9日の間にイジュームで調査を実施。地雷使用の目撃者、地雷の被害者、医師など100人以上に聞き取りを行った結果、同市と周辺の9地域で空中散布式の対人地雷(PFM)の使用を確認し、これらの地雷による民間人11人の犠牲を確認したという。HRWは、9地域はロシア軍の拠点近くであり、ロシア兵が標的だったことを示唆していると指摘した。
前出のウクライナ国防省高官は、イジューム周辺での対人地雷の使用に関するHRWの質問には一切答えず、「ウクライナの使用兵器に関する情報は戦争終結前にコメントするものではない」と述べたという。
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