[シンガポール 31日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は31日、東南アジア諸国の2023年成長率予測を下方修正した。中国経済再開によるプラス効果より世界経済減速の影響が大きくなるとした。

チーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は記者会見で、こうした状況を踏まえてシンガポールの23年成長率予測を1.5%とし、昨年10月時点の予測(2.3%)から引き下げたと述べた。

東南アジア諸国連合(ASEAN)主要5カ国(シンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシア、フィリピン)の23年成長率予測は10月の4.5%から4.3%に下方修正、24年についても0.2%ポイント引き下げて4.7%とした。

IMFの調査部門責任者ダニエル・リー氏はロイターに対し、ASEANが22年に5.2%の急成長を記録したのは一時的としつつ、中国が今年、予想以上のペースで経済活動を再開していることにも言及。

「ロックダウン(都市封鎖)などについて話していたのはつい半年前だが、非常に急速に転換した」とし、緊密に結び付く東南アジア地域の成長押し上げにつながる可能性があると述べた。

一方、ベトナムのように中国からのサプライチェーン(供給網)移転で恩恵を受けた国もあるものの、地政学的な分断は全ての国の見通しにマイナスだと指摘した。

ベトナム経済は22年に8%成長したが、IMFは当局によるインフレ対応を背景に今年は5.8%に減速すると予想している。