レカネマブ、日本の厚労省が優先審査品目に指定=エーザイ
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レカネマブは、モノクローナル抗体のアルツハイマー病治療薬として初めて、臨床試験で主要評価項目を達成したことで注目をされています。ただし、治療薬としての有効性(アルツハイマー病の進行を27%抑制するが、改善させるわけではない)、副作用(脳出血や脳浮腫)、コスト(年間1人300万円)という点で承認には慎重さが求められています。米国のFDAはいち早く承認しましたが、今後日本やヨーロッパが承認するのかや、米国の公的保険(メディケア)が保険適用とするのか、という点が注目されます。
レカネマブは、すでに米国FDAが迅速承認の決断をしています。過去の同種の薬剤と異なり、当初計画していた主要なエンドポイントで認知機能の進行を遅くするという一定の結果を示したところが大きなポイントでした。次にはイーライリリー社のドナネマブという薬剤も控えており、立て続けに有効性を示すことになれば、この世界の見通しが大きく変わるかもしれません。
また、「その次」に控える選択肢として、今回標的となっているアミロイドベータと双璧をなすタウに対する抗体製剤との合剤や、アルツハイマー病ワクチンの開発も進んでいます。これらのアプローチがこの世界を変える可能性があるのか、批判的な吟味をしつつも、期待をしたいところです。承認されるかどうか、保険収載されるかどうかが議論されているところで、気が早いのかもしれませんが、こういったことを議論する余地もないほどの医薬品を開発したいものです。
アミロイドβを標的とするのであれば、抗体から、低分子などのもっと安いものに変換することが考えられますし、タウや別のパスウェイを標的とするアプローチも、まだまだ研究の余地があるでしょう。
また、患者数の多い疾患については、同じ病名がついていても一様でない可能性があり、そのサブタイプごとに打つべき手段が異なっていることが十分に考えられます。
まだまだ、アルツハイマー治療薬、治療法に関しては、研究開発の余地があると言えます。