[ワシントン 26日 ロイター] - 米商務省が26日発表した2022年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比2.9%増と、伸びは市場予想の2.6%を上回った。堅調な個人消費を追い風に底堅い成長を維持した。しかし、金利上昇が需要を圧迫する中、成長の勢いは年末に向けて著しく失速したもよう。

在庫の急増も成長押し上げに寄与した。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「米経済は崖から落ちているわけではないが、スタミナを失いつつあり、今年初めに縮小するリスクがある」とし、「米連邦準備理事会(FRB)の動きは今後数カ月であと2回の小幅な利上げにとどまるだろう」と述べた。

ロヨラ・メリーマウント大学のサン・ウォン・ソン金融・経済学教授は「金利上昇への反応の大部分は、すでに経済、金融市場で具現化している」と指摘。「FRBは経済の減速に成功したため、出口戦略を考える時期に差し掛かっている」と述べた。

22年通年のGDPは前年比2.1%増。上期に1.1%減となったものの、下期に盛り返した。第3・四半期は3.2%増だった。しかし、21年の5.9%増から伸び幅は縮小。FRBは昨年、425ベーシスポイント(bp)の利上げを実施し、政策金利は07年終盤以来の高水準に達した。

米経済活動の3分の2超を占める個人消費は2.1%増。堅調な労働市場やコロナ禍中に積み上がった貯蓄に下支えされ、自動車を中心にモノへの支出が増加した。ただ、伸びは第3・四半期の2.3%からやや鈍化した。

物価調整後の家計の可処分所得は3.3%増。第3・四半期は1.0%増加していた。

貯蓄率は2.9%と、2.7%から上昇した。

在庫は1299億ドル増と、第3・四半期の387億ドル増から急拡大し、GDPの伸びを1.46%ポイント押し上げた。

在庫、政府支出、貿易を除く民間国内最終消費は0.2%の増加にとどまり、第3・四半期の1.1%から増加ペースが鈍化。伸びは20年第2・四半期以来最少となった。

CMEグループのシニアエコノミスト、エリック・ノーランド氏は「企業が過剰在庫の削減に動き、在庫増は23年初頭の成長に悪い兆候となる可能性がある」としている。

*動画を付けて再送します。