2023/1/27

【解説】トヨタの新社長「佐藤恒治」とは何者か?

時価総額にして約30兆円。日本最大の企業価値を誇るトヨタ自動車の社長人事をめぐり、こんなやりとりがあったようだ。
2022年末。タイの東北部にあるブリーラム県で開催された25時間耐久レースでのこと。サーキットで、次期社長の執行役員、佐藤恒治は豊田章男(現社長)に呼び止められた。
「ちょっと、お願い聞いてくれる?」(豊田)
「もちろんです」(佐藤)
「社長やってくんない?」(豊田)
「…。(絶句)」(佐藤)
それからおよそ1カ月後の1月26日、トヨタは今年4月の社長交代を発表した。同日、2人はトヨタイムズの番組に出演して、心境を語った。
私自身はどこまでいっても、車屋です。車屋だからこそ、トヨタの変革を進めることができたと思います。

しかし、車屋を超えられない。それが私の限界でもあると思います。佐藤次期社長を軸とする新チームのミッションは、トヨタをモビリティカンパニーにフルモデルチェンジすることです。
(豊田現社長)
新チームでは継承と進化をテーマに、創業の理念を大切にしながら商品と地域を軸にした経営を実践し、モビリティカンパニーへのフルモデルチェンジに取り組んでまいります。
(佐藤次期社長)
豊田社長はCEOも退任し、代表取締役会長として佐藤新体制をサポートしていくことになる。
自動車業界の大変革期に、佐藤次期社長はどう対峙するのか。これから日本最大の企業を率いるのは、どんな人物なのか。
INDEX
  • 久しぶりの「技術系」社長
  • 豊田社長の「秘蔵っ子」
  • 「全方位戦略」の光と影
  • 「豊田章男」の影響力

久しぶりの「技術系」社長