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[オタワ 25日 ロイター] - カナダ銀行(BOC、中央銀行)は25日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、15年ぶりの高水準となる4.5%とした。同時に世界の主要中央銀行として初めて、これまでの利上げの累積効果を見極めるために利上げをいったん停止する可能性を示唆した。

中銀はインフレ抑制に向け、10カ月間で4.25%ポイントという記録的なペースで利上げを実施。今回の0.25%ポイントの利上げはロイターが実施したエコノミスト調査の結果と一致した。

中銀は声明で「持続的な需要超過により物価に継続的な上昇圧力がかかっているため、利上げを決定した」と表明。経済が予測通りに推移すれば「累積的な利上げの効果の評価が行われる間、政策金利は現在の水準に維持されると予想する」とした。ただ「インフレ率を目標の2%に戻すために、必要に応じて政策金利をさらに引き上げる用意がある」とも表明した。

マックレム総裁は記者団に対し「インフレは峠を越しつつある。目標にはまだ程遠いが、このところの動きを受け、物価上昇は緩和しつつあるとの確信を強めている」とし、「われわれは急速に金利を引き上げてきたが、今はいったん停止し、インフレ率を目標の2%に戻すために金融政策が十分に制限的かどうかを評価する時だ」と述べた。

一方、「正確には、これは条件付きの一時停止だ」とも指摘。インフレ見通しには上振れリスクがあるとし、「上振れリスクが顕在化すれば、さらに利上げを行う用意がある」と述べ、必要であれば追加利上げをためらわないとの考えを明らかにした。

短期金融市場では、カナダ中銀が10月にも利下げに転じる可能性があるとの見方が出ている。

これについてマックレム総裁は「利下げついて語るには時期尚早だ」とし、「一時停止するのは、インフレ率を目標に戻すために十分な利上げを行ったかを評価する時間を得るためだ」と語った。

TD証券のカナダ担当チーフストラテジスト、アンドリュー・ケルビン氏は「これまでに実施された金融引き締めですでに経済は減速しており、大部分のシナリオの下で、一段の利上げの必要はないと中銀が確信しているのは明らかだ」と指摘。

デジャルダンのディレクター兼マクロ戦略責任者、ロイス・メンデス氏は「中銀はフォワードガイダンスを再び使うようになった」とし、「少なくとも向こう数カ月は利上げサイクルはいったん停止される」との見方を示した。

<インフレ率、来年に目標近辺に低下>

中銀は四半期ごとの金融政策報告書で、2023年の経済成長は昨年10月に示した予測よりも強くなるとしながらも、上半期に失速するとの見方を示した。

物価情勢については、インフレ率は年央に3%近辺に低下し、来年には目標近辺に戻ると予想。食料費や住居費の上昇が家計に重くのしかかり、総合インフレ率は依然として高水準にあるとしながらも、「3カ月消費者物価指数(CPI)は3.5%近辺に低下しており、今後数カ月でインフレが大幅に鈍化することが示唆されている」とした。

今年の経済成長率は1%と予想。昨年10月時点の予想は0.9%だった。インフレ率は平均3.6%で推移すると予想。前回予想は4.1%だった。

24年については、インフレ率は平均2.3%で推移すると予想。前回予想は2.2%だった。