[ロンドン 20日 ロイター] - 米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が20日に公表したデータによると、ヘッジファンド業界は2022年に資産運用で約1250億ドルの損失が生じた。また差し引きで業界から550億ドルの資産が流出し、2016年以来6年ぶりの流出規模になった。21年は差し引き150億ドルの流入を記録しており、環境の急変を物語っている。

22年は物価高騰や主要中央銀行の積極的な利上げ、ロシアのウクライナ侵攻などで世界中の金融市場が大荒れとなり、あらゆる資産クラスの投資家が過去何年も目にしたことがないような大きな値動きへの対処を強いられた。

こうした中で戦略別にヘッジファンドの動きを見ると、株式売買を行うファンドからの流出額が404億ドルと最も多くなり、損失額も1125億ドルと最悪だった。

一方マクロ経済指標に基づく取引を手がけるファンドは運用成績が堅調だったものの、150億ドルが流出。逆に個別の企業合併・買収(M&A)事案に基づく「イベント・ドリブン型」ファンドとクレジット投資を行うファンドには43億ドルが流入した。

HFRのケネス・J・ハインツ社長は「現在の極めて不安定な市場を乗り切る能力があると証明した戦略は、資金を取り込む公算が大きい」と指摘した。