2023/1/15
【解説】「学者の代表機関」に何が起きているのか
2020年秋、菅前首相による日本学術会議の会員候補6人の任命拒否が発覚し、問題となったのを覚えている方は多いだろう。
あれから2年。法改正を含む政府の学術会議改革案が、再び激しい議論を呼んでいる。
改革案を端的に言えば、学術会議の独立性を揺るがし、任命拒否を「合法化」するような内容だ。
これに対し、学術会議はもちろん、その外からも、批判や懸念の声が次々に上がった。医学・医療を担う141学会の連合体「日本医学会連合」の他、著名な研究者や文化人らが作る会などが、次々に反対の声明を発表しているのだ。
政府の改革案の何が問題なのか。
学術会議の連携会員でもある東京大学の隠岐さや香教授が解説する。
INDEX
- なぜ今、「改革」なのか
- 政府方針への「驚き」の理由
- “御用機関”になる懸念
- 「学問の自由」が揺らぐ
- ロシアで起きたこととの類似性
- 批判を封じるのは得策か
なぜ今、「改革」なのか
──今回の法改正の方針について、突然出てきた印象を持つ人も多いと思います。
隠岐教授 そうですね、正式な形では突然出てきました。
ただ、内容自体はかなり前から用意されていたと思います。少なくとも、第三者の組織を作って会員を推薦できるようにするとか、会員選考にその組織がなんらかの形で関われるようにするという案は、2022年8月の段階でかなりまとまっていました。
そこから4カ月ほど、日本学術会議(以下、学術会議)に対しての正式な打診は全くなく、学術会議側からは何度も説明を求めていました。
ところが、11月23日朝にNHKが報道する形で突然、法改正の方針が表に出てきた。それを受けて、梶田隆章会長の談話という形で再び、法案の具体的な内容の公表と説明を求めたところ、内閣府から12月6日に回答が返ってきた、という経緯です。
政府としては統一教会問題に伴う閣僚の交代や内閣改造もあり、それどころではなかったのかもしれません。
──そもそも、日本学術会議(以下、学術会議)の「改革」が取り沙汰されるようになったのは、任命拒否問題の直後からでした。
学術会議側にとっては、全く正当性のない乱暴なことをされたという印象です。
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