[ロンドン 13日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が13日発表した昨年11月の国内総生産(GDP)は減少予想に反して前月比0.1%増となり、昨年終盤に景気後退(リセッション)入りしていた可能性は低下した。ただ、今年の景気見通しは暗いままだ。

ロイターがまとめた市場予想は前月比0.2%減だった。

9─11月のGDPは0.3%減で市場予想と一致した。エリザベス女王の葬儀で多くの企業が休業となった9月のGDPが0.6%減少したことが主因。

7─9月のGDPはマイナス成長。10─12月もマイナス成長となれば、景気後退に突入したことになる。

ONSは「11月の英経済は小幅に成長した。通信・コンピュータープログラミングの増加が寄与した。ワールドカップの放映でパブ、バーも好調だった」と述べた。

統計に修正がないと仮定した場合、10─12月がマイナス成長となるには、12月のGDPが0.5%前後減少する必要があるという。

11月のGDPを押し上げたのはサービス業。鉄道・郵便のストライキがあったにもかかわらず0.2%増加した。食品・飲料部門が、サッカーW杯効果で2.2%増加した。

半面、製造業は0.5%減少。特に医薬品の生産が落ち込んだ。

フィデリティ・インターナショナルのアソシエートディレクター、エド・モンク氏は、英経済は11月にプラス成長となったものの、非常に厳しい1年となる見通しは変わらないと指摘した。

HSBCのエコノミスト、リズ・マーティン氏は「今のところリセッションは回避する可能性がある。ただ12月はさまざまな業種のストライキがあり、景況感調査の結果も低調だった」と指摘した。

ONSによると、11月のGDPはパンデミック前を0.3%下回った。

10月のインフレ率は11.1%と41年ぶり高水準を記録。政府は11月、2023年のGDPが1.4%減少するとの予想を示した。

RSM・UKのエコノミスト、トマス・プフ氏は「今後、家計の実質所得が一段と下押しされ消費支出は落ち込むと見込まれる」と厳しい見通しを示した。

ハント財務相は11月のGDP統計発表を受け、英経済が再び成長できるように今年のインフレを半分に抑える計画を遂行することが政府ができる最も重要な支援だと述べた。