2023/1/10

グーグル激震。ChatGPTが「検索エンジン」を変える

INDEX
  • 「コードレッド」の緊急事態
  • 先駆者グーグルが後手に回る理由
  • 広告ビジネスと「食い合う」技術
  • 信頼を取るか、挑戦を取るか
  • 虎視眈々とチャンスを狙う競合

「コードレッド」の緊急事態

過去30年間、テクノロジーの世界ではネットスケープのWebブラウザ、グーグルの検索エンジン、アップルのiPhoneといった一握りの製品が業界を根底からひっくり返し、それ以前に存在したものを絶滅危惧種のように見せてきた。
そして2022年末、業界の次なる破壊者になるべく登場したのが、「ChatGPT」と呼ばれる実験的なチャットボット(自動的に会話を行うプログラム)だ。
ChatGPTは、インターネット上のリンクのリストではなく、明快で簡潔な文章による情報を提供することができる。
物事の定義や概念を誰にでも理解しやすい言葉で説明できるうえ、ビジネス戦略からクリスマスプレゼントの提案、ブログのネタ、バカンスの計画に至るまで、ゼロからアイデアを生み出すこともできるのだ。
( CFOTO/Future Publishing via Getty Images)
まだまだ改良の余地があるとはいえ、このチャットボットの登場を受けて、グーグルの経営陣は「コードレッド(code red)」の宣言を迫られることになった。つまり緊急事態宣言だ。
いまやグーグルの眼前には、シリコンバレーの大企業が恐れてやまない危機的状況が迫っていると危惧する声もある。すなわち、彼らのビジネスを根底から覆す可能性がある、大規模な技術革新の到来だ。
20年以上にわたり、グーグルの検索エンジンはインターネットへの表玄関として機能してきた。しかし、新種のチャットボットはこれに取って代わる潜在力を秘めている。
グーグル幹部の一人は、この事態にどう対処するかで、同社の運命が決まるとさえ述べている。