中国当局、アントの消費者部門増資を承認-アリババ株上昇
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本ニュースに関連して、Ant Financialが向かっている
方向性(事業面)をざっくりと整理しておきましょう
・本件は③(+両輪としての②)に直結した動き
簡単に言うと、次の2点
・「データによる与信事業」と「リスクを取る金融事業」
の分離を当局から求められ対応中
(2018年から毎年監督官庁の警告を受けていたが、
ダミー会社利用等で上場申請までやり過ごしてきた)
・「リスクを取る金融事業」は大規模増資を繰り返し
資本金を積み増しながらスピンオフ推進中
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【Before】
①自社で収集したデータを元に与信スコアを作成
②同時に消費者金融部門で自社金融商品まで開発し販売
③少額資本で多額貸出を行う高レバレッジ運営を達成
(伝統的金融機関の10〜50倍のレバレッジ比率)
【After】
②: Ant Financial本体では自社金融商品を扱わない
・そもそも中国では単一企業による
「自社与信スコア算出」×「自社金融商品の販売」の
一気通貫提供は禁止
・今後はより①に軸足を置く形で
「自社与信スコア算出」×「他社への参考スコア提供+
他社金融商品の販売」にフォーカス
③: リスク取る消費者金融部門は増資によりスピンオフ
・IT企業ではなく金融機関として、大規模増資により
資本金を積み増しレバレッジ比率を下げていく
・政府系機関も出資参画
→ これらの動きを進めることで再上場可能になるとの
思惑から、アリババ株も直近で上昇傾向
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なお、
当局のご機嫌により唐突に「白→黒」になった
との認識の方もいると思いますが、実際はFairに言うと
黒と言われ続けていたものをグレーに変えることで
やり過ごせそうだったが、最後にやっぱり黒と言われた
(最後の匙加減にご機嫌が影響した可能性あるにせよ)
がより正確ではないか、ということを付言しておきます
「①×②→③」は中国Consumer IT領域の先進性の象徴
とも言える社会実装モデルで期待はありましたが、
黎明期は黒〜グレーのまま走れても、巨大化したら規制が
入ることは他業界同様に避けられませんでした
(そもそも規制改革により「白」に変えてあげれば
いいじゃないか?という指摘もごもっともですが、
金融領域は中国においてもやはり保守的な模様、残念)
注目のコメント
アントグループは規制当局によって、直接顧客に融資や投資などのサービスを提供することを制限されています。調達する約2000億円の資金は、Alipayのシステムやインフラの整備に使われるのかもしれません。
中国中央銀行は、Alipayをデジタル人民元を普及させるプラットフォームしようと目論んでいるフシがあります。その費用になるかもしれません。アントはこの計画の一環として52億5000万元を拠出。出資比率を50%とする一方、杭州市が所有する杭州金投数字科技集団は持ち分10%を保有し株主2位となる。
馬雲(ジャック・マー)氏が創業したアリババの株価は1月4日の香港株式市場で一時7%を超える上げとなった。