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紛争や餓死自体は、直接の影響はそれほどないでしょう。アフリカの紛争や飢饉で100万人が死んでも、欧米人や日本人が死ぬ人が増えるわけではありません。
しかし、アフリカや中東の紛争や餓死は、やはり先進国にも影響があります。
第1は、移民・難民です。特にEUには、2014年以来、難民申請者だけで毎年50万人以上が入境するようになっています。
アフリカや中東で紛争や飢饉が絶えない限り、ヨーロッパを目指す移民・難民も絶えないでしょう。
それでも、日本の場合、難民の数は比較的抑えられています。増えてはいますが。
移民・難民と同様か、それ以上に、アジアやアフリカで死者が増えたことが先進国にも影響を与えたのは、疫病によって、です。
1980年代、アフリカ中央部でHIVウィルスのパンデミックが起きた時、それを早期に食い止めなかったことで、結果的に米国でも感染が急拡大しました。
アフリカ中央部でのパンデミックも、おそらくそれ以前からの医療や公衆衛生の不備が大きく関係しています。
中国か、インドか、アフリカか、世界のどこであろうと医療の不備があれば、そこで起きたパンデミックが世界的なパンデミックになる、というのは、もうすでに繰り返し起きていることです。
グローバル化がもたらしたこと、ともいえますが、先進国でのパンデミックを防ぎたければ、アフリカやインドでの医療体制、防疫行政を改善していくのが効果的、ということが確実になってきました。
日本は、中国などの国際協力に比べて、巨大なインフラを建設することは少なくなりましたが、草の根の小規模なプロジェクトをたくさんやることに力を入れるようになり、医療支援はその中でも大きな割合を占めています。
JICAなども、母子手帳や予防接種の普及、あるいは栄養や衛生環境の改善など、地道な積み重ねを長年続けています。
JICA世界保健医療イニシアティブ
https://www.jica.go.jp/activities/issues/special_edition/health/index.html
1. 「ナショナリズムがもたらした弊害」とありますが、各国が自国民の安全を第一の国益に掲げるのは、国際政治のリアリズムとしてある意味当然のこと。主権国家体制が続く限りは、危機時のそのような行動は今後も変わることはないでしょう。課題は、国益を追求しつつも、国際公益を無視しない体制をどう作るか。
2. 日本のリーダーシップとして、国際社会の枠組みが出来たときに「支援を表明」することが挙げられています。すなわち、出来あがったものにお金を出すこと。あえて言えば、他律的にお金を「出させられている」だけとも言え、日本政府には自ら枠組みを構想し創設する「構想力」に欠けている。様々な外交領域で、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」や「クアッド(QUAD)」のような構想を自ら打ち出すことが必要です。
3. パンデミックに対する事態対処の戦略目標は、「死亡率の低減」。感染するのも困りますが、社会としては究極的には死なないようにすることが第一。死亡と感染の2つが戦略目標として並立することは難しいので、どちらが戦略目標なのか明確にすることが政府のコミュニケーションとして重要。
世界で感染対策の弱いところから綻びとか新しいリスクが出てきて、結局はそれが全体に影響するということを、実感を伴って学びましたね。
グローバルヘルスの重要性は、たとえコロナが収まった後でも忘れてはならないし、こうした活動への支援は強化すべきと痛感します。