ヨーロッパ中央銀行 0.5%利上げ決定 利上げは4回連続
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報道が薄いですが、本当の注目点はラガルド総裁が「スタッフ見通しはそれ(3%)を前提としているが、結果としてインフレ見通しは2%に戻れないことになっている」と回答していることです。
この上で「よって、さらなる利上げが必要であり、結果として新たな市場の織り込みを前提にスタッフ見通しも作成することになるだろう」と続けています。つまり、「2023年半ばまでに3%程度」という市場期待は今後上振れし、これに応じてユーロ相場も押し上げられる可能性が高いと思いますし、現に買われているのはそういう理由でしょう。
50bpへ引き上げたことや、それを続けるといったこと自体は、今回一部で75bpの利上げが期待されていたことを思えばむしろハト派風味も含んでいたと思います。本当の焦点はターミナルレートの話でしょう。「ユーロ圏19か国の消費者物価指数の伸び率は先月も10%ちょうどと高どまり」とのことですが、ユーロ圏19か国のインフレ率を国ごとに見ると22.5%のエストニアを筆頭に20%台のリトアニア、ラトビアから7.1%のフランス、7.3%のスペインまで大きな差があります。ちなみにドイツは11.6%です。
各国の財政状態と国債金利にも大きな差がありますから、「国債売却の際、イタリアなどを念頭に、金利の急上昇を招かないよう慎重に進めていく考えを強調」とある通り、慎重に進めなければ国債金利が跳ね上がって景気後退の中で緊縮財政を迫られる国等の国民の不満が高まって、ユーロ圏の分断に繋がりかねません。
インフレ率に低下の兆しが見える米国と異なり、ユーロ圏のインフレは上昇傾向が続いています。景気とインフレの狭間でECBの難しい舵取りが続きそう。利上げ幅を縮小しながら引き締めの継続を強調するところにそうした難しさが現れているような・・・ (・・;