【マザーハウス山崎大祐】みんなが輝いて働くために、おカネの心配は絶対にかけない

2015/1/20

ビジネスの価値を社長に説き続けた

社長の山口氏がバングラデシュで初めて作ったバッグには、売れば売るほど赤字になるような値段が付けられていた。原材料費や輸送費、人件費などのコストをまったく計算していないのだ。
「これだと絶対、赤字になるよね」。副社長としてマザーハウスに参画した山崎氏は、まずこの値付けを変えるところから始めた。
山口氏は当初、「ウェブでバッグが売れればいい」程度に考えていたが、山崎氏はビジネスとして大きくしていくことの価値を説いた。
「売り上げ1000万円の会社と10億円の会社とでは、やっぱり経済インパクトが全然違う。僕はビジネスの価値を信じて、より大きなビジネスにしていくことを山口に厳しく言い続けました」
おカネの管理もまるでできていなかった。銀行口座におカネがない、ない理由もわからないというありさま。社員やアルバイトの給与が払えないため、最初の1、2年は山崎氏が自分の口座から貸し付けた。
以来、おカネの管理はすべて山崎氏が担当している。
「ベンチャーの経営は、おカネのことがいちばん大変なのですが、おカネのことって誰も知らないほうがいいのです。『この会社、大丈夫?』なんて心配していたら、みんな輝いて働けないですから。だから僕は会社のみんなに一切、心配をかけないようにしています」