米女子バスケ選手釈放、ロシア武器商人と囚人交換
コメント
選択しているユーザー
注目のコメント
現在、サウディアラビアでは、習近平主席を国賓として、アラブ諸国12か国の首脳が集まり、包括的な同盟関係を構築するための首脳会談が行われています。
その同日程で、ロシアに働きかけて、米国のバスケットボール選手を取り返してみせて、米国の歓心を買う工作を演出して見せる、というのが、サウディアラビア‐UAE同盟の、外交上の芸の細かさです。
もっとも、米国とも中国ともロシアとも対等に付き合って利益を得よう、というのは根本的に成り立ちえない発想ですが。
12月8日、UAEの国家元首(アブダビの首長)自らがモスクワに飛び、プーチン大統領と会談しました。その時点で下準備で話は付いていたのでしょうが、UAEの国家元首が、帰りのフライトで米国のバスケットボール選手を連れてロシアから出国する、という演出になりました。この記事で興味深いのは2点。一点目はロシア側がビクトル・ボウトの釈放を求めた点です。ボウトとは非常に懐かしい名前ですが、かつてアンダーグランドの世界でよく知られた武器商人です。ボウトは世界中どこであっても武器をデリバリーしてしまう、”裏の世界のDHL”と言われたロジスティックスのプロです。制裁下にあって彼の持つ密輸のスキルをロシアが必要としていることの証左なのでしょうか?
もしくは最近プーチン大統領の側近の中でも民間軍事会社ワグネル創設者のプリゴジンのような強硬派の力が強まっていると言われていますから、彼らが仲間であるボウトの釈放を求めたのかもしれません。
もう一点は、今回の取引にサウジも関与したと主張しているのに対し、米政府がサウジの関与を否定し、UAEには感謝したもののサウジには言及しなかった点でしょう。サウジにはちょうど3日間の予定で習近平国家主席が訪問中で、「包括的戦略パートナーシップ協定」を結び、2国間の関係強化をアピールしています。中国とサウジがどこまで突っ込んだ関係を築くかに関心が集まっていますが、米・サウジ政府の関係希薄化が今回の米政府の声明にも表れています。