2022/12/11
【週末対話】親子で考える。2040年、メタバースの暮らし
NewsPicksが今年8月より、月1回発行している子ども向け新聞「NewsPicks for Kids」(以下、for Kids)。
想定読者は、小中学生。「家族でもっと話そう、世界のこと」という理念のもと、「覚えるためのニュース」ではなく、「問いを立て、考えをアウトプットするためのイシュー」をお届けしています。
本シリーズでは、毎月、for Kids最新号の記事を素材として「子どもにどのような問いかけをし、どう対話を広げていけばいいのか?」のTipsを、いくつかの記事をピックアップしながらお届けします。
この週末、ご家庭での会話のタネになれば嬉しいです。
INDEX
- メイン特集:「ニュー・ワールド」
- サブ特集:映画館を動かしたファンの力
- from NYT:クラスで話してはいけないこと
メイン特集:「ニュー・ワールド」
2022年も残り、約3週間。今年は安倍元首相の襲撃やロシア・ウクライナ戦争など、さまざまなニュースがありました。
来年はどんな出来事が起こり、どんな変化が生まれるでしょうか。果たして希望のあるニュースに触れられるのだろうかと、つい考えてしまいます。
そこで今年最後のメイン特集は、さらに未来の希望に目を向けてみました。舞台は2040年。18年後、メタバースによって私たちの暮らしや仕事、遊びはどのように変わるのかを描きました。
たとえば、2040年のメタバースでは、こんなことができるようになるかもしれません。
📌体育の授業で安全なサバイバル体験ができる
📌大切なことは寝ている間にインプットできる
📌AIの力で、誰でもすばらしいアートを生み出せる
📌自分にぴったりな仕事がデータで表示される
「そんな夢みたいなことが本当に起こるの?」と思われるでしょうか。ふだんからゲームなどでメタバースの世界に慣れ親しんでいる子どもよりも、大人のほうが抵抗感を抱いてしまうかもしれません。
そんな親御さんに、特集を監修してくださった礒津政明先生からメッセージをいただきました。
礒津政明(いそづ・まさあき)
ソニー・グローバルエデュケーション会長、教育フューチャリスト。1975年、千葉県生まれ。2000年、東京工業大学大学院修了後、ソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)入社。ソフトウェアエンジニアとして、ソフトウェア・ネットワーク・ウェブ関連の研究開発に携わる。2012年よりソニーCSLにて新規事業開発に従事。教育分野における独自のビジネス構想を実現させるため、2015年、ソニーグループ初の教育事業会社、ソニー・グローバルエデュケーションを設立、代表取締役に就任。2022年6月より現職。「教育×ブロックチェーン」の日本における第一人者であり、「教育×メタバース」の構想にも力を注いでいる。著書に『2040 教育のミライ』がある。
ソニー・グローバルエデュケーション会長、教育フューチャリスト。1975年、千葉県生まれ。2000年、東京工業大学大学院修了後、ソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)入社。ソフトウェアエンジニアとして、ソフトウェア・ネットワーク・ウェブ関連の研究開発に携わる。2012年よりソニーCSLにて新規事業開発に従事。教育分野における独自のビジネス構想を実現させるため、2015年、ソニーグループ初の教育事業会社、ソニー・グローバルエデュケーションを設立、代表取締役に就任。2022年6月より現職。「教育×ブロックチェーン」の日本における第一人者であり、「教育×メタバース」の構想にも力を注いでいる。著書に『2040 教育のミライ』がある。
【メッセージ】
2040年のメタバースでは、現実世界よりも自由に、好きな活動ができるようになると予想しています。
そこでは、住んでいる国や地域も、家の裕福さも、文化的資本すらも関係なく自分の能力を発揮することができます。
18年後といえば、for Kidsの読者である子どもが社会に出て、活躍している時期。
我々世代が憧れたような、好きなことや得意なこと、向いていることを仕事にするキャリア形成も、より当たり前になるでしょう。
メタバース内で重要な役割を果たし、子どもの可能性を広げてくれるのが「アバター」です。
たとえば、現実では自分の外見が好きではなくても、アバターでは好きな格好をして自己肯定感を高められるかもしれない。あがり症な子も、アバターでなら赤面や声の震えを気にせず自分の意見を言えるかもしれない。
コンプレックスやハンデを克服できる場があることで、生きやすくなる人も増えるでしょう。
子どもがゲームばかりしていると心配になりますし、ときにイライラしてしまいます。けれど彼らが大人になるころには、そこで培った能力が存分に発揮できるはず。
「2040年に必要な力を育てているんだ」と考え、ゲームなんてという思いをぐっと飲み込んで見守ってあげていただければと思います。
【礒津先生からの宿題】
特集では、さまざまな未来の可能性を示しています。そこで、その未来が実際に起こったときに自分ならどうするかを、ぜひ親子で話し合ってみてください。
正解はありません。「僕、私はこう思う」「お母さん、お父さんはこう考えた」と意見を交わしてみることで、お互いの考えが深まるはずです。
問1・2040年には、自分にぴったりの仕事がデータでわかるようになると言われているよ。もし、自分がやりたい仕事と、データが教えてくれる「向いている仕事」が違ったら、どうする?
問2・メタバースの世界では、だれでも思い通りに上手な絵を描けるようになると言われている。そうなったとき、どんな絵が「すばらしい」と言われるようになるだろう?
問3・2040年、「メタバースによってこんなふうに変わっていそう」と思う授業を3つ考えてみよう。また、みんなが先生だったら、どんな授業をしてみたい?
NewsPicks内の下記のような記事も、ぜひテーマを深掘りするヒントにしてください。
動画で楽しむクイズコンテンツもご用意していますので、こちらも併せてどうぞ。
サブ特集:映画館を動かしたファンの力
サブ特集では、アフリカ大陸の国ザンビアで、ファンの力によって日本のアニメ『呪術廻戦』の劇場版を上映、大ヒットさせたストーリーをご紹介します。
(写真:Nerd|Otaku)
日本アニメは世界中で人気ですが、ザンビアも例外ではありません。ただしザンビアでは日本アニメの映画館での上映実績はなく、そもそもアニメがどれだけ若者に支持されているのか、映画関係者も知りませんでした。
そんな状況で、現地のアニメファンたちがどのように尽力し、上映の実現にこぎつけたのかを追いかけます。
【たとえば、こんな対話】
👨「日本のアニメは、アフリカでも人気なんだね。そもそもザンビアってどこにあるかわかるかな?」
👧「わかんない……地図で探してみよう。(地図を見て)こんな遠いところでも人気なんて、『呪術廻戦』はすごいね!」
👨「本当だね。じゃあ、日本のアニメは世界でどれくらい人気だと思う? どれくらいのお金を稼いでいるか予想して、調べてみよう」
👦「うん。……それにしても、自分が好きなものを応援したいって気持ちが、大人を動かすことがあるんだね。実際に映画館で上映されるなんて、びっくり」
👩「ほかにも、ファンの応援や熱意は、たくさんの人やお金を動かしているんだよ。どんな事例があるか、調べてみよう」
👨「日本のアニメは、アフリカでも人気なんだね。そもそもザンビアってどこにあるかわかるかな?」
👧「わかんない……地図で探してみよう。(地図を見て)こんな遠いところでも人気なんて、『呪術廻戦』はすごいね!」
👨「本当だね。じゃあ、日本のアニメは世界でどれくらい人気だと思う? どれくらいのお金を稼いでいるか予想して、調べてみよう」
👦「うん。……それにしても、自分が好きなものを応援したいって気持ちが、大人を動かすことがあるんだね。実際に映画館で上映されるなんて、びっくり」
👩「ほかにも、ファンの応援や熱意は、たくさんの人やお金を動かしているんだよ。どんな事例があるか、調べてみよう」
こちらの記事は、NewsPicksオリジナル記事『【熱狂】アフリカの映画館を動かした「ファン経済圏」の威力』を子ども向けに再編集しています。
お子さんがファン経済圏や日本アニメの海外展開に興味を持ったら、ぜひ下記の記事も参考にしてみてください。さらに深い対話につながるかもしれません。
from NYT:クラスで話してはいけないこと
「The New York Times For Kids」からは、アメリカのフロリダ州で施行された、通称「ゲイと言ってはいけない法律」についてレポートします。
フロリダ州では今年の3月、「教育における親の権利法」が成立し、学校で小学校3年生以下の児童に「性的嗜好」や「性自認」という考え方について教えてはいけないことになりました。
(写真:DisobeyArt / iStock)
この法律によって、先生が性について悩む子どもにアドバイスすることはおろか、L.G.B.T.Qを象徴する虹のシールをクラスに貼ることもできなくなり、L.G.B.T.Qに関する書籍の一部も小学4年生以上のみに閲覧が制限されることになったのです。
本法律に抵抗する動きは大きく、著名人も反対の声を挙げています。
「性について教えてはならない」と法律で定めることで、子どもにどのような影響があるでしょうか? ぜひ、親子で対話してみてください。
【たとえば、こんな対話】
👩「フロリダ州では、学校で性別について教えてはいけなくなったんだって。それを法律で決めるって、どう思う?」
👦「うーん。たとえば国語で何を習うかは、教科書で決められてるよね。それと同じことなのかな?」
👧「でも、私のクラスには身体は女だけど心は男って子がいて、前は誰にも相談できなくて悩んだみたい。先生が性について話す時間はあったほうがいいと思うな」
👨「いま、学校では『男子』と『女子』に分かれているかもしれないけれど、性にはいろいろなかたちがあるんだ。どんな性自認があるのか、調べてみよう」
👩「フロリダ州では、学校で性別について教えてはいけなくなったんだって。それを法律で決めるって、どう思う?」
👦「うーん。たとえば国語で何を習うかは、教科書で決められてるよね。それと同じことなのかな?」
👧「でも、私のクラスには身体は女だけど心は男って子がいて、前は誰にも相談できなくて悩んだみたい。先生が性について話す時間はあったほうがいいと思うな」
👨「いま、学校では『男子』と『女子』に分かれているかもしれないけれど、性にはいろいろなかたちがあるんだ。どんな性自認があるのか、調べてみよう」
そのほか、11月号の全ラインナップは、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
身近なニュースを題材に、大人から問いかけることで、お子さんの「なぜ? どうして?」が、ますます湧いてくるはずです。
ご家庭で知的好奇心に溢れた会話がたくさん弾むよう、for Kidsはこれからもさまざまなイシューをお届けしていきます。
1月は休刊月となり、次号は2月10日前後の発行となります。お楽しみに!
構成:田中裕子
編集:金谷亜美
写真:吉田和生
デザイン:福田滉平
編集:金谷亜美
写真:吉田和生
デザイン:福田滉平
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