2022/12/7

【実録】スナップも出資する「破天荒ジャパニーズ」がいた

NewsPicks 編集部
現代人は、孤独だ。
ネットでいつでもつながれるようになったけれど、深いつながりは減っているし、コロナもあって一人の時間は増えて、メンタルヘルス上の一番の問題になっている。
完全にSNS世代の私だって、そう実感する。
だけど、そんな現代の問題に、斬新なアプローチで取り組む日本人の起業家がいる。
現在、ニューヨークを拠点に活動する哘崎(さそざき)悟さんだ。彼は2020年、アメリカで友達や家族と「交換日記」ができるサービス「Waffle」を立ち上げた。
交換日記というのは、あの交換日記だ。友達同士が日記を交わす、あのちょっと照れくさいやつ…。
なぜ、インターネットの時代に「交換日記」なの?
実は、あの交換日記文化は日本だけのもので、そこにチャンスがあった。何しろ、今やWaffleは、すでに海を渡って世界の174カ国に広がり、あのSnapから15万ドル(約2200万円)の出資を受けているほどだ。
なんでこんな斬新なアプローチを思いついたんだろう。そもそも、何でアメリカで?
とにかく話を聞いてみたいと、哘崎さんに会うと、まずアメリカに渡った経緯から、そこでのサバイバルに、起業のきっかけ、Snapの出資にいたるまでの奮闘まで、めちゃめちゃぶっ飛んでいた。
INDEX
  • ①「勘違い」でシリコンバレーへ
  • ②夜中に聞こえた「叫び声」
  • ③現代人を「孤独」から救う日記
  • ④なぜかZ世代女子からバズる
  • ⑤あのSnapが惚れ込んだ理由
  • ⑥その「迷い」が起業家を殺す

①「勘違い」でシリコンバレーへ

──まずはアメリカで起業したきっかけを教えてください。
哘崎 僕はもともと、大阪で生まれ育った文系学生でした。
当時は2010年前後で、シリコンバレーからTwitterやUber、Airbnbなどのサービスがどんどん出てきていました。
それを見て、「自分もそういうのをつくりたい」と憧れていました。コードをちょろっと書くだけで、世界中の人の生き方を変えられるなんて夢があるな、と。
そして、大阪市の派遣事業でシリコンバレーに行ったとき、とあるエンジニアが言っていた「世界を変えるようなものをつくってるんだから、楽しくないわけないやろ」という言葉に衝撃を受けた。
このとき、「もうシリコンバレーしかないな」と思いました。
boxのエンジニアの言葉が決め手に(ロイター/アフロ)
当時は、盆栽についてプロが教える動画を海外向けにつくっていましたが、グローバルなサービスといえば、アメリカから出てくるものがほとんどでした。
であれば、日本で事業を始めて世界に行くよりも、最初からアメリカでやるほうが簡単なのではないかと思ったのです。大学を卒業すると、そのままの勢いで渡米しました。
後になって勘違いだったことに気づきましたが、そのときにはもう遅かったですね(笑)。
──そんな軽いノリだったのですか笑。当時は英語やプログラミングや、起業のアイデアに勝算はあったのですか?
英語力も、スキルもすべてゼロでした。