2022/12/4

【超組織論】岡田武史、森保ジャパンの「真髄」を語る

NewsPicks編集部
日本で、森保ジャパンを的確に語れる人物はいないだろう。
ドイツ、スペインというW杯優勝経験国を倒し、グループ首位で決勝トーナメントへ足を進めたサッカー日本代表。次は、日本が3度にわたって跳ね返されてきた「8強」という大きな壁に挑むことになる。
その最先端でフロンティアに挑んできた日本人監督が、岡田武史氏だ。
ご存知の通り、岡田氏は1998年のフランス大会に、2010年の南ア大会と2つのW杯を指揮し、2010年は本国開催以外で日本代表を初めて決勝トーナメントへといざなった。いずれの大会も大きな批判を跳ね除け、結果を残してきた。
今の代表は、ベスト8、いやベスト4さえもいけない理由はない──
今も森保監督にアドバイスを続ける岡田氏に、NewsPicksは緊急インタビューを敢行。森保ジャパンが躍進した裏側と知られざる強み、そしてベスト8に向けた「カギ」まで、あますところなく語ってもらった。
INDEX
  • [1]グループリーグの総括
  •  「ボルト」でもビビらない
  •  スペイン戦「前半32分」の変化
  •  勝負の神様は「細部に宿る」
  • [2]森保ジャパン論
  •  知られざる「キーワード」
  •  夢のベスト8、3つのカギ
  •  クロアチア戦の見所
  • [3]日本サッカー界へ
  •  レンガを「縦・横」に積む
  •  「失われた30年」の解決法

[1]グループリーグの総括

  「ボルト」でもビビらない

──改めてグループリーグはドイツ、スペインと優勝経験国をやぶり、首位で突破しました。この3試合をどう総括されますか?
岡田 前提として、まず相手チームと同じスタートラインに立って戦えているという点が大きいと思います。
今の日本代表の選手たちは、多くがヨーロッパのクラブに所属しています。そのため、例えば初戦のドイツ戦の前には、「ドイツ代表より(ドイツの強豪クラブの)バイエルン・ミュンヘンのほうが強いですよ」と話す選手もいました。
つまり、メンタル面で負い目を感じたり、相手チームをリスペクトしすぎることがなかった。
100メートル走に例えると、以前は何メートルか後ろからスタートしているようなイメージでした。あるいは、隣にウサイン・ボルトがいて、それだけで圧倒される感じが試合開始時点でありました。
今回は「同じスタートラインに立っている」という前提で試合に臨めていたので、それだけ日本代表の力がついているということです。