EU、ロシア産原油上限60ドル 対ロ追加制裁で合意、G7適用へ
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複雑な問題なので結論として私の評価をいうと、かなり危険な価格設定。この制裁を含む一連の政策は、エネルギー供給の実態を知らない外交当局の感情的の感情的対応ともいえ、西洋の自殺ともいえる自滅的結果をもたらしかねない。世界中にコストを負わせることで、ウクライナを支援する側の気持ちを削ぐ結果になるからだ。
これはEU向けの判断ではなく、EU以外のインドやアジアに輸出される原油に対してのもの。EUはそもそも12/5から殆どの原油輸入を停止することになっている。
来週12/4のOPEC+(ロシア含む)の判断次第では、原油ベンチマーク価格が高騰してロシア産原油価格が60ドルを越えてしまい、日量数百万バレルのロシア産原油の海上輸送に保険がつかなくなり、無保険で取引する怪しい事業者の「シャドウタンカー」に取引が流れ、原油市場は大変な混乱に陥る可能性がある。
インドは欧米以外の保険会社で輸入を継続すると表明。いずれそうなっていけば、単に欧米保険会社がシェアを奪われただけで終わりということもあり得る。
日本もこの判断にG7の一つとして加担しており、これから世界で起きることに責任を持たなければならない。G7+EU+オーストラリア、の決めごとということですが、EUでは12月5日からロシアから原油を輸入しない、という合意が別にあります。
国際的なカルテルのようなものですが、参加国は、30数か国、ということになります。
原油の市場価格は、今は1バレル81ドル(WTI)あたりですが、ロシア産原油(ウラル)は、今月だと60ドル台です。
買い手が中国だろうとインドだろうと、そういう割引価格で売られています。買いたたかれている、ともいえるでしょう。
ロシアは、中東産や北海産に比べると、大幅に割引せざるをえない状況にすでにあるわけですが、この状況が、維持されることになります。
このことは、これまでの半年間ほど、国際的な原油価格を引き下げてきました(原油価格が下がった原因としては、中国経済の現状も大きいですが)。産油国には不利益であり、原油を輸入している国には利益となります。
G7+EU+オーストラリア、として、現状以上にロシア産原油の価格を下げる、ということはなかなかできない、ということでしょう。
産油国への配慮、ということもあります。
現状でも、ロシア産原油が買いたたかれて、ロシアはある程度の損失を蒙っており、それを維持できる線で60ドル、ということになるのでしょう。
微妙な配慮の上で成り立つカルテルなので、60ドル、という価格は2ヵ月ごとに見直される、ということも合意されています。
ただし、今回の合意は、単なる価格上限設定だけではなく、ロシア産原油に関わる海運や保険も規制されることになっているため、これらが十分に機能すれば(ギリシアの海運会社などがロシア産原油を運ぶのをやめれば)、カルテルに参加していない中国やインドもロシア産原油を輸入する手段が減るので、これまで以上にロシアの損失が膨らむ可能性もあります。
G7提案の上限価格、ロシア石油収入に直ちに影響与えず=業界筋
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-oil-idJPKBN2SD1VBEUの連携で石油価格の追加制裁をロシア側に行うようですが、ロシアはEU側に石油を売ることをやめて、制裁の無いそれ以外の国へ輸出地域を変えていく可能性が高いと思います。ロシアにも強いプライドがあるでしょうしそこまでEUに固執しないのではないか、いわゆるインドのような中立国を貿易相手国としてシフトしていくと考えます。