2022/12/3

【DeNA】南場氏の激推し社長。目指すは「ゲーム会社」の脱却

NewsPicks Buisiness Growth Division
NewsPicksの記者たちが、注目の成長企業を取材し、経営トップにインタビューする過程を覗き見できる番組『デューデリだん!』。
今回、取り上げる企業はDeNA(ディー・エヌ・エー)。球団運営の他、ゲーム、ライブストリーミング、街づくりなど手掛ける事業は幅広いが、どのようなビジネスモデルになっているのか、次の収益柱は何か。
動画本編では、現会長の南場智子氏が7年かけてDeNAへ呼び込んだという、代表取締役社長兼CEOの岡村信悟氏へインタビューする。
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INDEX
  • 業績絶頂から、青天の霹靂
  • ゲームでは勝てないのか
  • DeNAの「街おこし」
  • 400億円で2社を「買収」
  • 南場氏が7年越しで引き抜き

業績絶頂から、青天の霹靂

プロ野球チーム・横浜DeNAベイスターズや、創業者兼会長の南場智子氏で知られるDeNA。YOUTRUST代表・岩崎由夏氏、SHOWROOM代表・前田裕二氏、BASE FOOD代表・橋本舜氏らなど、DeNA出身の起業家も多い。
そんなDeNAの歴史を見ていくと、創業は1999年まで遡る。
創業時はオークションサイト「ビッダーズ」を運営していたが、当時すでにYahoo!オークション(現・ヤフオク!)が業界の圧倒的No.1に君臨していた。
2001年にはショッピングサイトを立ち上げるも、業界を牽引していた楽天を超えられなかった。
こうした中、DeNAは事業を大きく転換。モバイルSNS領域に踏み込み、2006年に「モバゲータウン」(現・モバゲー)を提供開始。
携帯電話上で、ゲーム、日記作成、メッセージ交換などができるサービスとして、開始から1年で会員数500万人を突破。隆盛を極めていたmixiをも凌ぐ勢いで人気を呼んだ。
2009年には当時人気沸騰となったソーシャルゲーム『怪盗ロワイヤル』をリリース。ゲームを中心に業績を伸ばし、2009年度の売り上げは過去5年で16倍にもなった。
DeNAが強かった理由は、NTTドコモの「iモード」と提携し、ゲームプラットフォームを展開していたことにある。高利益を実現し、業界の独占的なポジションにあった。
しかし、スマートフォンが登場し、過去最高の業績を記録したDeNAの命運は急転することになる。人々はガラケーを使わなくなり、プラットフォーマーはアップルやグーグルに置き換わり、圧倒的優位のポジションは突如として失われた。
さらに当時、ゲームに課金することでレアアイテムを入手できる「コンプリートガチャ」で高額課金者が続出し問題視されていた。
コンプガチャはDeNAのモバゲータウンでも採用され人気を集めていたが、景品表示法違反に当たるとして、2012年に禁止となった。
新たなビジネス領域として2011年には横浜ベイスターズを買収し、さらに音楽配信や通信教育、無料通話など、あらゆるインターネットサービスを開発するが、ピーク時の勢いは、いまも取り戻せていない。
業績は2000億円を超えていた2012年度をピークに下降。
長く横ばいの状況が続き、2022年3月期には1300億円にまで落ち込んでいる状況だ。

ゲームでは勝てないのか

現在の事業領域を見てみよう。
主力となるゲーム事業の他、スポーツ、ヘルスケア、ライブストリーミング、街づくりなどかなり幅広いことがわかる。
コングロマリット的に多彩な領域に手を伸ばしているが、大きな成果を生む事業はいまだ作れていない状況だ。
主力であるゲーム事業も2022年3月期は前年比で約20%の減収、約40%の減益。
いまだ伸び悩む状態が続いている。
不調の要因のひとつには、増大する制作コストがある。
モバゲータウンが人気を博していたガラケーの時代には、キャラクター1体を作るのに数百万円ほどで済んでいたところが、現在ではおよそ数千万円かかるという。
さらに業界の競争も激化している。今年、ソニーは米ゲーム会社のバンジー(Bungie)を約5140億円で買収した。米マイクロソフトは、米ゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードを約8兆円で買収すると発表している。
自社開発を進めるも、ヒットコンテンツは一朝一夕には生み出せない。こうした中、新たな収益柱を作ることが求められている。

DeNAの「街おこし」

低迷から脱却する、ひとつの武器がスポーツ事業だ。
DeNAは横浜スタジアムの経営権を取得しているが、横浜DeNAベイスターズの低調もあり、長らく観客動員数が伸び悩んできた。
そこで、ライオンやカンガルーの鑑賞や乗馬体験、さらには1000人規模の大規模な合コンなど、エンタメの場としても提供することで、野球ファン以外の新たな層の動員を図っている。
また野球観戦においても、チケット代のキャッシュバックキャンペーンなどを実施。こうした取り組みにより、観客動員数は2011年から現在で約1.8倍に増加。座席の稼働率は100%近くまで上昇している。
さらに今年10月には、近くで空席のある飲食店を予約できるサービス「Neee(ニー)」をリリース。スタジアムから帰路に就く観客にサービス利用を促すことで、街おこしにもつなげようと試みているのだ。
過去にない新たな事業だが、果たして収益化につなげられるのか。他の都市での街づくりを展開する可能性はあるのだろうか。

400億円で2社を「買収」

こうした中、いまDeNAが特に注力しているのがヘルスケア・メディカル領域だ。
DeNAのヘルスケア事業は2021年3月期の決算で約12億円の赤字となっているが、これを2025年3月期には50億円にする目標を発表している。
彼らが注目しているのは、ビッグデータとDXだ。
DeNAは今年10月に医療スタートアップのアルム(Allm)を、8月に医療情報サービスを提供するデータホライゾン(DATA HORIZON)を買収している。
2社合計で約400億円をかけているが、ここから何を仕掛けようとしているのか。ヘルスケア事業は、ゲームに次ぐ柱になり得るのか。次のDeNAを占う重要な焦点となる。

南場氏が7年越しで引き抜き

今回インタビューするDeNA社長の岡村氏は、もともと郵政省や総務省に席を置いていた人物だ。
DeNA入社のきっかけは、現会長の南場智子氏にあるという。
モバゲータウンが順調にユーザーを拡大させていた2007年頃、フィルタリング規制問題が起きていた頃だ。
「フィルタリング規制」問題
携帯電話が普及した2000年代当時、携帯電話やPHSから有害サイトへのアクセスにより青少年が事件に巻き込まれることが社会問題となった。この対策として、総務省は2007年、青少年による有害サイトへのアクセスを制限する「フィルタリングサービス」を導入するよう、携帯電話事業者に要請した。
モバゲータウンにはメッセージ機能が存在していたため、DeNAもこのフィルタリング規制に積極的に取り組んでいた。
その当時、総務省でネット規制を担当していた岡村氏の仕事ぶりを見た南場氏が、7年間かけてDeNAへ招き入れたという。
入社はいまから6年前の2016年。同年にベイスターズ社長に就任し、横浜スタジアムの取締役会長など、DeNAのスポーツ事業における指揮を執ってきた。
こうした経緯を経て現社長を務める岡村氏だが、これからのDeNAをどう見ているのか。
ヘルスケア・メディカル領域の可能性は。ゲームは不調から抜け出せるか。そして、いかにして規制産業をメイン事業へと確立させていくか。インタビューで明らかとなる。
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