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【インタビュー】スタートアップ トップに訊く:No.1でなくていい。「自分の強みのつくり方」

【インタビュー】スタートアップ トップに訊く:No.1でなくていい。「自分の強みのつくり方」

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南 和気
南 和気のキャリア・人事のホンネ南 和気

いつも読んでいただき、ありがとうございます! 5月の番外編で、NewsPicksトピックス「GenZのたまり場」のオーナー、糸井あかりさん、園田映美音さんと若手社員のキャリアについて対談させていただきました。"【悩める新卒】キャリア形成は「サンドイッチ思考」で考えよ!"

遠い未来のキャリアなんて考えなくていい。まずは、今の仕事に集中して「強み」をつくって結果を出そう。強みをサンドイッチの具材のように積み重ねて、「他人から見て価値がある組み合わせ」に仕上げよう……という話だったのですが、特に20、30代の方から、「実際のキャリアのつくり方をもっと知りたい!」という声を多くいただきました。

そこで今回は、「サンドイッチ思考」を体現してキャリアをつくっている方の話をお聞きして、一緒にイメージを具体化していければと思います。

お話を聞くのは、株式会社bacterico代表の菅沼名津季さん。慶応義塾大学薬学部の訪問助教でもあります。

菅沼さんのキャリアは、まさに「キャリアのサンドイッチ思考」そのもの。

新卒社員や若手の方々にとって非常に参考になると思いますので、ぜひ最後までお読みください!

@Wake Consulting

◇目次

・「自分の強み」との予期せぬ出会い

・誰にでも訪れる「3年目の壁」。どうやって乗り越えるか?

・強みを生かしながら「キャリアをずらしていく」

・グリコからベンチャー、そして起業の道へ

・最初からNo.1を目指さなくていい。まずは周囲から価値を認めてもらおう

◇「自分の強み」との予期せぬ出会い

南     菅沼さんに初めてお会いしたのは、グリコ時代のことでしたね。私がグリコの人事役員として入社し、経営企画にいた菅沼さんとやりとりする機会がありました。

当時から菅沼さんは、仕事の目的が非常に整理されていて「しっかりしている」という印象でした。それだけに、数カ月後にグリコを退職すると聞いたときは驚いて、すぐに時間をもらって話をしましたが、起業への想いをお聞きして「それならぜひ頑張ってほしい」と、それ以来応援しています。

菅沼さんが立ち上げた会社では、腸内環境を整えるためのサービスを提供されていますが、学生のころから腸内環境の研究をしていたんですか?

菅沼 大学では遺伝子工学、大学院で創薬の研究をしていました。なので、腸内環境の専門家かと言われれば、まったく違います。

基本的に、学生時代は「どうして病気になるのか。どのようにして病気を治療するのか。」という研究でした。でも、薬の研究をすればするほど「治療よりも、病気にならないよう“予防”することが大切」という考えが強まっていきました。

毎日口に入れる食品を通じて「予防」を発達させれば、世界中の人々に健康をもたらすことができる――。そう思うようになり、食品会社で、しかも誰もが口にできるお菓子という商品に強みをもつグリコに入社したんです。

食品に関わる研究は専門外でしたが、研究部門で採用していただいて、“たまたま”ビフィズス菌や腸内環境の研究を担当しました。今振り返ればこの偶然がこれまでのキャリアの軸になったと思います。

@Wake Consulting

◇誰にでも訪れる「3年目の壁」。どうやって乗り越えるか?

 新卒入社したグリコでの仕事はどうでしたか?

菅沼 ビフィズス菌の研究は、もともと関心があった「病気の予防」にも密接につながっていて非常に楽しかったんです。ただ3年くらい経ったとき、それまで無我夢中で研究を学んでいた感じから、少しずつ周囲のことが見えてきて、あらためて先輩や上司の、研究者としてのすごさがわかるようになりました。

また、同期が少しずつ成果を残していくなかで、「自分は研究者としては一流にはなれないのかな」という感覚を持つように。「自分のやりたいことに直接つながる仕事のほうが向いているんじゃないか」という考えもよぎって、転職サイトを見ることもありました    

でも他社を見れば見るほど、予防に関わる研究ができているグリコの環境がとても貴重だということに気づき、「自分の強みにできるまでは何とか頑張ろう」という思いが逆に強くなったんです。

そのころよく考えていたのは、「上司に言われたことすらできないのに、自分がやりたいことなんてできるはずがない」ということ。そこから2年間、研究に没頭しました。

   まさに「サンドイッチ思考」の第1段階。「今の仕事に集中して強みをつくる」ですね。私もIT企業に新卒入社して配属されたのはエンジニアでした。文系出身でITのスキルも何もなかったところから、先輩や同期たちに何とか追いつこうと無我夢中で技術を覚えたことが、人事の仕事をする今でもすごく役立っています。

◇強みを生かしながら「キャリアをずらしていく」

 ビフィズス菌の研究職と、起業まではまだかなり遠いようにも思いますが、何があったのでしょうか?

菅沼 研究成果を商品開発につなげるためには多くのステップを経る必要があるのですが、研究者として少しずつ自信を持てるようになってきた入社5年目のときに、「自分の研究をもっと直接的かつスピーディーに商品・ビジネスにつなげたい」と思うように。そんなタイミングで、経営企画部に異動の話があったので、迷いなく希望しました。

異動後、経済産業省とJETROが主催する事業コンテスト「始動 Next Innovator」に応募するチャンスに恵まれました。自分が研究を通じて考えていた事業アイデアを企画にまとめて申請してみたところ、思いがけず最終審査まで残ることができたんです。

 菅沼さんにとって腸内環境の研究は、最初はかなり苦労したと思いますが、そこで頑張って自分の強みに変えたからこそ、強みを軸にして「研究職」から「事業企画」へと職種を転換していけたのだと思います。強みを活かしながら、少しずつ職種や役割をずらしてキャリアを広げていくという、まさに「サンドイッチ思考」の第2段階ですね。

@Wake Consulting

◇グリコからベンチャー、そして起業の道へ

菅沼 「始動 Next Innovator」で評価いただいたことは嬉しかったのですが、いざ起業となると、ほぼ研究しか経験のない自分が本当にビジネスをできるのだろうか……と正直不安しかなかったです。

社内外のいろいろな人に相談しましたが、「ビジネスの経験がないと、起業しても成功するのは難しいよ」と皆さんから心配されました。グリコのことは大好きでしたし、将来的なことを考えれば「辞めなくてもいいんじゃないか」という思いもよぎりました。

でも、研究を重ねるなかで、「腸内環境は個人ごとに違うからこそ、万人に共通の商品を効率よく提供しなければならない大企業ではなく、個人に寄り添った商品やサービスを提供して、世界を健康に、幸せにしたい」という思いが強くなっていました。当時、自分も中堅と呼ばれる年齢になって、やるなら今かなという焦りもありました。

そのとき、たまたま知人を介して知り合ったベンチャー起業の社長に自分のアイデアや思いを話したところ、「だったらウチでビジネスを経験しながら準備したら?」というありがたい話をいただいて、「これだ!」と思ってベンチャーに転職しました。

営業から契約管理まで本当にたくさんのことを経験することができ、自分がいかにビジネスについて無知だったかを思い知らされました。同時に、自分にとっては大きな糧となり、起業への後押しになりました。

グリコに入社したころは、自分が起業するとは思ってもいませんでしたし、最初から何か事業のアイデアがあったわけでもありません。

でも、目の前のことに集中し、できることを増やすなかで少しずつ結果が出て、それを見てくださった周りの方に助けていただき、気づいたら自然と道が開けていったという感覚です。

事業規模はまだまだ小さいですが、少しずつ協力してくれる仲間も増え、これから自分たちなりの商品を展開していきたいと思っています。

◇最初からNo.1を目指さなくていい。まずは周囲から価値を認めてもらおう

よく「自分のキャリアはどこに向かえばよいのだろう?」と不安になる人がいます。でも、キャリアは今の自分次第で、どうにでも変わります。

まずは強みを作ること。繰り返しになりますが、これが非常に大切です。

菅沼さんの場合、グリコで偶然、ビフィズス菌の研究に出会ったことを自分の強みに変えたこと。そして、その強みを軸にして職種を変えながら「始動 Next Innovator」で結果を残したことで、新たな出会いがあり、次の扉が開いていっています。

起業も、菅沼さんにとっては、現在地点でしかないと思いますが、この経験がまた強みになって、これからも素敵なキャリアのサンドイッチができあがっていくでしょう。

新卒のみなさんや若手の方も、キャリアに迷うときはたくさんあるはずです。でも、それはごくごく自然なこと。菅沼さんだけでなく、私を含め多くのビジネスパーソンは3年目の壁にぶつかっています。

もし、「これからどうしていけばいいのかな……」と思ったら、いったん未来のことは置いておき、今の自分に「他人から見て価値のある強み」があるかを考えてみてください。もしわからなければ、先輩や同僚、違う業界の友人などに聞いてみるのもいいと思います。

違う角度から自分を見てもらうと、「こんなことも強みになるのか」と思えるかもしれません。ただ、「まだこれといって強みはないな」と思えば、まず1つ強みを作ることに集中してください。

日本一のレベルになる必要はありません。

周囲から見て、「これってあなたの得意分野だよね」って言われるくらいでまずは十分です。それが、次の出会いとチャンスを必ず呼び寄せます。

「現時点の自分の価値」を早く上げられる人には、早くチャンスがやってきます。その繰り返しが、長いキャリアのなかで違いを生み出していきます。

【対談を終えて】

自分の未来が見通せなくて不安になるときは誰にでもあると思います。菅沼さんの場合も、予想通りのことは何一つなく、偶然の連続の中で、目の前のチャレンジを全力で強みにしてきた結果、今があると思います。これからのキャリアの旅もまだまだ先が楽しみです。またどこかでお話をお聞きできればと思います。ありがとうございました!

@Wake Consulting


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コメント


注目のコメント

  • Yagi Yoko
    音楽→出版→教育→フリーランス、子連れMBA事務局 マーケティング

    菅沼さんのFBのシェアから辿り着きました。サンドイッチ思考、大変おもしろく参考になりました。


  • Suganuma Natsuki
    株式会社bacterico CEO

    素敵な記事ありがとうございます。
    具体例に落としていただき、理解が深まりました!


  • 糸井 あかり

    「サンドイッチ思考を体現されている菅沼さんのお話」×「南さんの解説」、めちゃめちゃ勉強になりました!


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