【ドキュメント】サントリーの競争優位は「思想」だった
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こんなにも強く太い経営理念があると、結果社員のエンゲージメントにも繋がるのか、と感じる。
"サントリーが面白くなくなり、普通の会社になったな"と社員に思われないようにする。それを作るのは経営でもあり、社員たちでもある。事業だけでなく文化や芸術にも力を入れる事で相乗効果を生む。とても難しい事だが、非常に大事な事なのだと思う。
注目のコメント
記者1年目からサントリーを担当して以降、ずっと社員のエンゲージメントの高さに驚かされてきました。社員の多くが、自社製品だけではなく創業家への愛を語るからです。
半ば宗教的な組織とも言えますが、それが競争優位となっている点がサントリーの最も興味深いところです。では、その創業精神はどう形成されたのか。本記事でルーツを辿りました。「サントリーでは創業精神を社員に根付かせるために、「サントリー大学」という講座を定期的に開催している。」この試みは重要だなと思うのですが、入社した後に「精神」を教えられるのだろうかという疑問もあります。言葉で理解することと信じることは必ずしも同じでないからです。ただ、一方で形から入って「いつのまにかサントリーらしくなった」といわれることもあるでしょう。企業文化は本当に奥が深いなといつも思います。
新浪氏が「ファクターX」と呼んでいるもの、まさにだと思う。
最近「急がば回れ」とか「余白」、そして「凡事徹底」という言葉を、よく使っている。
やるべきことは規律をもってしっかりやる。でもそのなかで余白でちょっと気になることを試してみたりしないと、追われ仕事になる。また期限や量など、デジタルに判断できる指標も重要なのだが、目の前に迫ったそこに気を取られすぎると、やる気含めた長期の成長力は下がると感じている。
サントリーにとって、芸術やスポーツ、自然保護、そして「信心」はそういったものなのだと思う。
短期的にはやめれば利益が出る。でもそれをやっているから社内のやりがいや団結感、またクリエイティビティなどが育まれる。社外にもそれが認知されて、会社への愛着がわく。社会から愛されている会社は、誇りに思える。
社会に愛される会社を作ることは、とてもやりがいがあることだと思う。事業に集中する人もいるが、それ以外で会社に熱中する人もいて、それが「いいよね」となるから、会社の価値観の多様性が持続する。でもそれがなぁなぁにならないように「信心」だったり、規律もある。矛盾を包含できるようになっている。
そして、これらは固有性や文脈がめちゃくちゃある。だから、その文脈を共体験した株主やガバナンス構造があって、初めて成立する。
あとは創業家・創業者の考えが会社のDNAや旗印としてうまく機能するかという点について。
「やってみなはれ」的な大らかさはとても重要。トヨタの「もっといいクルマをつくろう」や京セラ稲盛氏の「動機善なりや、私心なかりしか」も同様。サービスや組織のDNAの根幹の、パーパス的な部分で、誰もが否定しないレベルのことを掲げているか。
否定はされないが、でも事業の現実として「やってみる」とか、エゴを抱える人間が「私心がないか」というのはとても難しい。だからこそ、組織の体験として、それを体現できている人が重層的になり、文化になって、多様な解釈を伴う文脈が再現されているかが、それがお題目で終わるか、強固な競争力につながる固有の文化になるかの分かれ道だと思う。