地球から最も近いブラックホールの発見に天文学者たちは困惑
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興味深い天体。論文(*)によると、ブラックホールと太陽サイズの伴星との連星系であり、その周期は約186日と極端に長い(星サイズブラックホール連星では最も長い周期とのこと)。連星は楕円軌道であるものの離心率がそれほど大きくないため、お互いが最も近づいたときでも伴星のガスをブラックホールに供給できないほど遠く離れているため、ブラックホールは休眠状態(注)になっている。このようなブラックホール連星は、通常の連星形成シナリオでは説明が困難なので、近接遭遇による連星形成などなにかエキゾチックな理論モデルが必要。
(注)ブラックホールに流入するガスが多いと、降着ガス円盤ができて、円盤からさまざまな波長の光が放射されて場合によってはジェットやアウトフローと呼ばれる噴出流が出現する場合もあります。このような状態を活動的と呼びます。放射光が地球に影響を及ぼすほど地球の近くにこのような活動的なブラックホールがあるとリスキーです。対照的に、ガスの流入がないもしくは極端に少ないと、ブラックホールの近傍で放射光も出なければ、噴出流も出ずただ静かにブラックホールが存在しているだけになります。このような状態を休眠状態と呼びます。
【*】MNRAS論文
https://academic.oup.com/mnras/advance-article-abstract/doi/10.1093/mnras/stac3140/6794289?