世界一のスパコン「富岳」、それは「2位じゃダメなんですか」への科学者らの答えだった
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私は、京コンピュータを使った計算で査読論文(Corresponding author:責任著者で名前が入っています)を書いています。
私は記事のタイトルがよろしくないのではと思います。タイトルだけみると2位じゃダメなのか?と言われて奮起して1位を取ったかのように見えます。この記事の中でも理研の松岡センター長は、2位でもよいと答えてよかったと書かれています。使いやすさを取ったと。富岳は世界一を狙わなかったスパコンなのです。
https://president.jp/articles/-/44712?page=1
この話題は様々な視点からみることができます。
富岳のような大規模なスパコンは、研究者から見れば共同利用の施設で、かくかくしかじかな成果が見込めるので、これだけの計算資源を使わせてください、という提案書を書いて、審査を経て資源が割り当てられ研究を行います。そのような施設として適切であるか。
また、予算額から見れば、産業政策を含んでもおかしくない金額になっています。富岳で培ったハードウェアを販売して普及させることを意図するか否か。また、CPUの独自開発を行なうのは産業政策を含んでいるように思えます。
計算もtop500で使われるLINPACK性能だけ見るのがよいのか、それともHPCGやFFTなど別の種類の計算の速度も必要なのか。
それよりもこれらの計算を基盤にして、作られたアプリケーションソフトウェアの速度を見るべきなのか。そのアプリケーションソフトウェアの使いやすさは重視されるべきなのか。それよりもソフトウェアを使って出された科学的な成果の方が重要なのか。科学的成果は基礎科学、工学的な応用計算、どちらも重視するのか。アプリケーションソフトウェアの販売、普及を目標とするのか。
これだけ様々な論点があるのです。
2位じゃだめなのか、いや政治家はわかっていないとだけ言っているのは議論を矮小化しています。
追記:
発表されたばかりの2022年11月のスパコンTop500に対してコメントを書きましたので、こちらもご覧ください。結論は、「富岳一極で普及はまだ」
https://newspicks.com/news/7791474?ref=user_6189022この研究はこういうことに必要だというのを専門外の人にも説明できないとただの内輪ネタにすぎず、子供が「みんな買ってるから買って」と言う理屈とほとんど変わらない気がします。
"科学者が自らの研究の意義を答えられないのはまずくないか"
この一言(一文)が真理だと思います。そしてそれに答えを出してみせたというのは本当にすごいし、科学者としてカッコいいですね。「渡邉 博文」さんのコメントを読みました。処理性能で「世界一を狙わなかった」ということでした。
「2位じゃダメなんでしょうか?」という質問のとらえ方を、これからの産業政策の話、技術力の話などを考えたときにどうなんだろうかを答弁されていれば現在でこんな言われ方なかったかもしれません。
その一方で、予算を減らすためのやり玉にあがって劇場的な対立を演出したかったのかもしれません。描いていたシナリオは、当時世界を席巻すると目されていたITではなく、何だったんでしたっけ?当時を振り返ることにします。
追加で以下を確認。プロフェッショナルは、説明できてこそ。
そして、成果物をどの様に使うのかの計画を大事にしてほしい。事業仕分けの内容を確認せずに報道の切り取りだけで判断してしまっていた。
過去のネガティブな報道を理解しなおすことが出来た。
https://blog.wktk.co.jp/ja/entry/2015/06/08/renho-super-computer-siwake