【苦悩】主要港の「中国支配」が進む欧州のジレンマ
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サウスチャイナ・モーニング・ポストでまだこの手の中国への批判的な記事が書けることにびっくりしました。。
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中国遠洋海運集団(COSCOS)は、タンカーや貨物船を運用する海運会社、港湾ターミナルオペレーター、リース業、造船業、不動産業、等々を傘下に抱える、いわば海運の総合グローバル企業です。
世界最大手のコンテナ製造会社、中国国際海運集装箱もまた、COSCOSのグループ企業です(世界シェアの50~60%程度)。
海運業界で過当競争になり、利益率が下がっていく中で、COSCOSは、単に海運業だけではなく、港湾やコンテナの建造、管理を含む海上輸送の総合企業集団であることで、世界の海運業界でシェアを伸ばしてきました。
通信など、他のインフラについてもいえることですが、中国企業に外注する、中国企業に部品を発注すればコストを削減できる、ということは多々あります。
普通の資本の論理では無理な受注額でも、中国の国営企業は、政府からの出資と規模の拡大で受注を増やし、世界でシェアを伸ばしてきました。
一帯一路の主要な担い手であるCOSCOSはその典型であり、国策企業です。
中国政府にとって重要なのは、海運を武器に使うまでも無く、シェアを握り、生殺与奪を握り、戦わずして勝てる仕組みを築いてしまうことです。香港大学で「中国の特色ある大国外交」(=「習近平外交」と同義語と理解して可)の研究をしていましたが、本記事を読みながら、その典型的なケースに当てはまると思いました。
習近平外交の特徴とは、①経済力を武器に影響力を拡大する、②その過程で相手国・地域に政治的浸透を図る、③”お友達圏”を創造する、④それらの国や地域に中国の「核心的利益」を尊重させる、というプロセスです。
習近平政権で、特にその主体が国営企業である場合、経済的動きが経済の次元で終焉することは往々にしてなく、それは政治、外交レベルにも波及し、最終的には、台湾、香港、人権、政治体制といった分野で、他国が中国を批判できなくする、言い換えれば、中国の政治体制やイデオロギー、勢力範囲が世界中に広がっていく過程への同調を求めるという構造です。
ご興味のある方は、英文で恐縮ですが、拙稿をご参照ください。
"What Is Xi Jinping’s Major Power Diplomacy?", March 7, 2019
https://www.asiaglobalonline.hku.hk/xi-jinping-china-major-power-diplomacy
"Covid-19 and the Implementation of Xi Jinping’s Major-Power Diplomacy", May 21, 2020
https://www.asiaglobalonline.hku.hk/covid-19-and-implementation-xi-jinpings-major-power-diplomacyベルギーやドイツは、中国に依存しなければならないほど逼迫した状況ではないはず。たくみにすり寄って出資者に名を連ねているのでしょうか。
議決権をもたない出資比率とはいえ、海運の重要な拠点に中国を参画させることは、リスキーであることは疑いようがありません。軒先を貸して母屋を取られるの例えがあります。