【日立・矢野和男氏】「利益と幸福はトレードオフではない」
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遅くなりましたが、井野様と対談させていただきました。
以下に、利益と幸福の循環やスパイラルを創るかは、これからの経営の最も重要な課題と思います。
これまでもいろいろな研究により、従業員のウエルビーイングが業績に結びつく、というデータや研究は沢山あります。
ただ、これは統計的な法則です。どの組織の場合にも、かならず業績にむすびつくことが検証されているわけではないのです。
検証されているのは、いろいろな企業があるなかで、集団の平均をみると、幸せな企業は、業績が平均的には高い傾向が見えていることです。
そこで本当に、我が社では、従業員の幸せ/ウエルビーイングが業績に結びつくのだろうか、という疑問になるのです。
実は、私はある時から別の見方をするようになりました。
本当に業績につながるのだろうか、という問いでは、環境から業績が与えられるように見ています。しかし、実際には、未来の業績は、我々の行動がつくっているものです。経営者や従業員の判断や行動で変わるものなのです。未来の業績は、我々の意思と行動が創っているのです。そして、幸せと業績との関係も、我々の行動で変わるのです。
そこで、幸せは業績に本当につながるかを心配するのではなく、むしろ、幸せが業績につながるように意思をもって未来をつくるべきと考えるようになりました。そして、その因果関係は、我々が創れるのです。
この幸せを業績につなげ、業績をさらに次の幸せに意思をもってつなげることこそ、企業のあるべき姿です。
物理法則は、神から与えられたもので変わられません。しかし、人間や社会の法則/因果関係は我々が変えられます。「幸せである→仕事がうまくいく」「幸せである→病気になりにくい」のように逆の因果関係を成立させ、利益と幸福をトレードオフではなく循環で考えるようにするためにはFINEという組織の観点とHEROという個人の観点の両方を満たす必要があるということか。
FINEはある程度他人に依存してしまう部分が多そうなので、企業に属している場合はトップの思想を変えないと難しそう。おそらく、利益よりも前に幸せの概念を持ってきて経営するのはハピネス経営にかなりコミットしてないと頓挫しそうな気がする。ビジョン経営だのパーパス経営だの言われているが次はハピネス経営がくるかもですね。というかきてほしい。
幸福度の高い人の周りには幸福度高い人が集まるので、是非人的資本マップを使って少しずつでもハピネス経営に参画してくれる企業、人を増やしていってほしいですね。
【FINE】
Flat(均等):人と人とのつながりが特定の人に偏らず、均等である
Improvised(即興的):5~10分程度の短い会話が多く交わされている
Non-Verbal(非言語的):会話中に身体が同調してよく動く
Equal(平等):発言権が平等である
【HERO】
Hope:自ら進む道を見つける力
Efficacy:現実を受け止めて行動を起こす力
Resilience:困難に立ち向かう力
Optimism:前向きな物語を生み出す力私自身、学生時代に困難な状況に立ち向かったり日々努力を続けたりしていたのは、お金などの報酬があるからではなく、「自分の成長」という幸せのためだったと思います。働き始めると報酬が発生しますが、頑張る理由の本質はやはり幸せなのではないかと思っています。
近年では、この「幸せ」が企業価値の新たな評価軸になっているそうです。定量的に測ることができない幸せを可視化するのは難しいのではないかと感じましたが、記事で紹介されていた「人的資本マップ」を活用する方法は納得感がありました。「FINE」と「HERO」の尺度は企業価値を測る基準になる一方で、個人が自分の労働環境を俯瞰する指標にもなるのではないでしょうか。