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Weekly Briefing(メディア・コンテンツ編)

ネイティブ広告絶好調、ハリウッドの給料、スマホ嫌い

2015/1/6
今週からスタートするWeekly Briefing。毎日、ビジネス・経済、メディア・コンテンツ、ワークスタイル、デザイン、スポーツ、中国・アジアなど分野別に、注目ニュースをピックアップ。火曜日は、世界と日本のメディア・コンテンツ・マーケティング関連のニュースを5つ、コメントとともに紹介します。

Pick 1:2014年はネイティブ広告イヤー。米国で販売絶好調

・Michael Sebastian“The Year in Native ads” Ad Age(2014年12月30日)

先日、「スマホ時代の王座をかけた「勝負の1年」が始まる」の記事で、ネイティブ広告が今年の注目テーマであると記したが、米国では、2014年にネイティブ広告人気が爆発した。企業がネイティブ広告に費やした総額は、前年比46.7%増となる32億ドルに到達。2015年はさらに、42億ドルまで増えると予想されている(調査会社イーマーケター調べ)。

2014年1月には名門ニューヨーク・タイムズがネイティブ広告を始動。3月はウォール・ストリート・ジャーナルもそれに続いた。また、ネイティブ広告を専門とする複数のスタートアップが資金調達に成功した。

昨年は、数々のネイティブ広告がデビューしたが、その中でも、圧倒的に高い評価を得たのが、「テレビの未来」を題材にした、WIREDによるネットフリックス向けのスポンサーコンテンツ。ネイティブ広告が、編集記事のクオリティを凌駕した好例と言える。

WIREDは日本でも、NHKスペシャル『NEXT WORLD – 私たちの未来 – 』とのコラボサイトをオープンしているが、洗練されている。これは純粋な編集記事か、スポンサーコンテンツかはわからないが、他のメディアや企業にとっていいお手本となるはずだ。

Pick 2:2014年の広告賞、ボルボトラックが総なめ

・“The 2014 Awards Report: See the World’s Most Creative Agencies, Campaigns and Clients” Ad Age(2014年12月30日)

ネイティブ広告と言えば、本命は活字よりも動画。その代表例と言えるのが、ボルボトラックによる「Live Test」と題した命がけの実験動画シリーズだ。

たとえば、ジャン・クロード・ヴァンダムが主演するこのムービーは、今日までに世界で7700万回以上再生されている。ボルボは2014年、多数の広告賞を受賞、2013年に1位となったユニリーバ―をかわし、2014年の受賞数でトップに輝いた。

Pick 3:2014年、映画のグローバル興行成績 トップ20

Best of 2014: The Top 20 Worldwide Box Office Hits” Hollywood Reporter(2015年1月1日)

2014年の世界の映画興行成績トップ20が発表された。20位までのタイトルは以下のとおりだ。

1.トランスフォーマー
2.ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
3.マレフィセント
4.X-MEN:フューチャー&パスト
5.キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
6.アメイジング・スパイダーマン2
7.猿の惑星:新世紀
8.ハンガー・ゲーム:モッキングジェイPart1
9.インターステラー
10.ヒックとドラゴン2
11.ホビット
12.ゴジラ
13.リオ2
14.ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ
15.レゴ・ムービー
16.ルーシー
17.オール・ユー・ニード・イズ・キル
18.ノア
19.ゴーン・ガール
20.ザ・メイズ・ランナー

今年の特徴のひとつは、女優が主演した映画(スカーレット・ヨハンソン主演のルーシー、アンジェリーナ・ジョリー主演のマレフィセントなど)が人気を博したことだ。スタジオとしては、アメコミに強いマーヴェルや、フォックスが好調だった。

映画マーケット全体を見ると、米国市場の不振もあり、グローバルの興行収入合計は、前年比5%減の103.5億ドルとなった。一方、中国の映画マーケットは活況を呈し、前年比36%増となる47.6億ドルにまで拡大している。

筆者はトップ20作品のうち、7作品を鑑賞したが、その中のベストは、ゴーン・ガール(19位:興行収入3.5億ドル)で、ワーストはノア(18位:同3.6億ドル)である。

Pick 4:ハリウッドのサラリー事情

・“Hollywood Salaries Revealed, From Movie Stars to Agents (and Even Their Assistants)” Hollywood Reporter(2014年10月2日)

現在、トマ・ピケティの『21世紀の格差』が売れているが、ハリウッドでも、格差は広がっている。とくに役者の中間層没落が著しい。役者の平均給与は5.2万ドルだが、大半の役者の年収は1000ドル以下だという。

ただ、ハリウッドの魅力は、成功すれば莫大なサラリーにありつけることだ。たとえば、2013年6月から2014年7月における、レオナルド・ディカプリオの出演料合計は推計で4500万ドルに上る。インターステラーの監督を務めたクリストファー・ノーランは、興行収入の20%を懐に入れ、2000万ドルを得たと言われている。

ハリウッドには、監督、役者といったわかりやすい仕事だけでなく、プロデューサー(年収25万〜200万ドル)、エージェント(年収20万〜100万ドル)、エンターテイメントロイヤー(年収200万〜600万ドル)などなど、100万ドルプレーヤーを狙える職業が複数存在している。

この点は、監督でさえも安月給で働いている日本の映画界とは大違いだ。映画界でも、メディア界でも、Jリーグでも、まずはサラリーをどうにかしないと業界が廃れかねない。たかがおカネ、されどおカネである。

Pick 5:クリストファー・ノーランのスマホ嫌い

・Scott Feinberg“Christopher Nolan on ‘Interstellar’ Critics, Making Original Films and Shunning Cellphones and Email (Q&A)” Hollywood Reporter(2015年1月3日)

最後に、今、世界でもっとも注目されている監督の一人、クリストファー・ノーランのロングインタビューを紹介する。大半は映画論だが、後半部にあるスマホ論が面白い。

ノーランは生まれてこの方、Eメールを一度も使ったことがなく、スマホも保有していないという。その理由は、考える時間を失わないため。スマホを持っていると、10分の隙間時間をスマホに費やしてしまう。それを避けたいそうだ。

ノーランのように、もっとも未来的で、想像力にあふれる監督が、最先端ガジェットのスマホを使っていないというパラドックス。スマホを使い始めてから、本を読む時間と思考する時間が減った自分にとって、耳の痛い話だ。

※Weekly Briefing(メディア・コンテンツ編)は毎週火曜日に掲載する予定です。