「かっぱ寿司」と「はま寿司」 衝撃の社長逮捕劇を15年前の“因縁”でひもとく
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記事は回転すし業界M&Aの経緯とリーダーの流れが分析されています。製造業などと比べると知財の所在が分かりやすく、新規参入が容易な業界であることから、人材の獲得そのものを戦略にしてきたことがわかります。
人の「能力」が雇いたい企業が求めるポイントであることについては理解できますが、「秘密・機密」とは別の概念で、転職に伴っての後者の入手は違法です。転職者に対し、前職の機密情報を「持ち込まない」ことを確認する念書を受け入れ条件にすることは、コンプライアンス上不可欠な手順とされています。外国の大手企業などは、事例を挙げて、「このような場合は雇えない」とした上で、転職者の回答をチェックするところも多いと思います。
かっぱ寿司の場合、社長(当時顧問)採用時にこのような手続きがとられていなかったとすれば問題ですが、それ以上にはま寿司の管理データを持ち込んでいたことが分かった後、取締役会はこの社長の任を解く必要がありました。それどころか、事業戦略に持ち込んだデータを幹部が共有して活用し続けていたと報道されています。事実であれば同社のコンプライアンス意識は絶望的に低いレベルにあり、同社のコーポレート・ガバナンスが機能していないことも明らかです。
運営会社のカッパ・クリエイト社(東証プライム上場)に対して、株主から経営責任を問う声が出てきてもおかしくない事案だと思いますが、カッパ・クリエイト社株の過半数は実質的に親会社(コロワイド)の管理下にあり、「信託銀行等機関投資家の株主発言は認めない」などとIRに表記するなど、上場企業に通常必要とされるコーポレート・ガバナンスを否定しています。この状態で東証プライムの上場基準を満たせるとは驚きます。
「コーポレートガバナンス」(カッパ・クリエイト社)
https://www.kappa-create.co.jp/company/governance.pdf?20221006