【3分解説】医科歯科大と東工大が統合へ。スピード合意の背景
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少子化も進んでしまっていますし、共有出来るものがあれば効率よく経営できるんでしょうね。リモートコミュニケーションが進んだことも大きいでしょう。あとは研究と開発、事業化と普及に繋げられれば。周囲も協力体制を整えていきたいですね。
注目のコメント
今回の東工大と東京医科歯科大の統合劇で、一つ多くの方が取り上げていない重要な論点があります。それは、統合後の新大学の場所をどこにするかということです。どうやら、両大学の現在の所在地である目黒区大岡山でも文京区湯島でもなく、千葉に持っていくという話が進んでいるようなのです。
その背景には、「地域における大学の振興および若者の雇用機会の創出による若者の修学および就業の促進に関する法律」(2018年成立、同年10月施行)があり。その4年前にできた法律が統合後の両大学を東京に置くことを邪魔しているようなのです。
大学が無駄に東京に集中している傾向を是正して、地方への若者の流れをつくろうという法律の趣旨はわかるし、一般論としてはわからないでもない、という気もしますが、東大の向こうを張って世界に伍する理系大学を作ろうとする今回の取り組みの結果誕生する新大学が、その「無駄な大学」なのか、ということです。
世界の頭脳を集め、トップクラスの優秀な学生に知的トレーニングと研究の場を与えようとすればその場をどこに持っていくかの答えは明らかで。新大学を、千葉に持っていくなどという発想ははなからありえないというのが私の感覚ですが、いかがだろうか?
六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズ、東京駅前の丸ノ内エリアのまちづくりを阻んで、それを地方創生に役立つから千葉に持っていけ、というのに等しい愚挙だと私は思います。東京の足を引っ張るだけでは日本は強くなりません。地方創生もデジタル田園都市もいいが、その前にこの件に関しては国際競争力という重要な視点を忘れてもらっては困る、新大学から生まれるイノベーションをどうやってデジ田に生かすのかを考えるべきだ、ということです。
*この点に関して、小池百合子知事が本年9月に声を上げていました。さすが、抜け目がないというほかはない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d5c4956c95b16482a017bbc3d47c175a4ea90306メガバンクのように、規模による優位性、というのが可能になることはあり、世界大学ランキングでも、合併で規模を大きくすれば順位を上げることができる、ということはあります。
これをやったのがフランスのパリ大学で、論文引用数のスコアなどは、所属する研究者の数が増えれば、上げることはできます。
それでは、規模が大きければ何もかも良くなるのか、というと、そんな単純な話ではありません。
日本の3大自動車メーカーが合併すれば、売り上げ台数は世界1位になるでしょうが、営業利益率も上がるかというと、そうでもないでしょう。
そもそも、現代の研究というのは、大学の垣根はおろか、国境も超えて、世界各地の最先端の研究をしているチームと共同研究をできるようになる、ということが非常に重要です。日本に欠けているのは、むしろここです。
同じ大学の中でなければ共同で研究できない、ということはないし、そんな狭い範囲で組んでいては、世界で最先端の水準になどなりません。
必要なのは、日本で、世界各地の最先端のチームからパートナーとして選んでもらえるチームをつくる、ということですが、東工大と医科歯科大の統合にしても、そのようなチームづくりに役立つかどうか、が問題です。
資金を持っている、というのは、世界各地のチームと組むうえで、重要な選定基準になるので、大学統合によってより多くの研究資金を確保できるのであれば、強みになるでしょう。
理工系の場合は、人文社会系と比べて、どうしても資金や設備を同じ大学内で共有するところがあるので、統合の結果、チームづくりをバックアップしやすいようになれば、有意義な統合といえるでしょう。
そのうえで、世界各地と人材の行き来を進め、共同研究が活発になれば、日本の研究水準を上げることにつながります。東京医科歯科大と東京工業大。歴史と実績のある2校が統合し、新しい大学になります。14日に開かれた記者会見のポイントや統合の背景をコンパクトにお伝えします。
統合協議の後押しになったとみられる10兆円大学ファンドの特集も、ぜひ併せてお読みいただければ。
https://newspicks.com/book/3431?ref=search&ref_q=%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%89&ref_t=top