2022/10/17

実はコスパ良し。マーケ効果を最大化するイベント活用術

NewsPicks Brand Design editor
 コロナ禍を経て、急激にオンライン化が進んだイベント。開催のハードルが大幅に下がった結果、リード獲得などを目的に、企業がこぞってイベントを開催するようになった。

「類似イベントに埋もれて、うまく集客ができない」「イベントで得たリードを活用できていない」といった悩みを抱える企業も増えているのではないか。

 乱立するイベントに埋没しないために、何を意識すべきなのか。マーケティング効果を最大化する秘策はあるのか。

 イベントプラットフォーム「eventos」を運営するbravesoft代表取締役CEOの菅澤英司氏、同社Event Experienceグループ・ビジネスプロデュース事業部の岡元宏薫氏と、NewsPicks Brand DesignでChief Event Producerを務める若林恵の鼎談を通して、イベントが秘める可能性に迫る。

イベントは、これからが本番

──コロナ前とコロナ後で、イベントのあり方はどう変化したのでしょうか?
菅澤 イベントを実施するハードルが、大きく下がった。これが最大の変化ではないでしょうか。
 コロナ禍以前、企業のマーケティングを目的としたイベントは、多額の費用をかけて実施する大掛かりなものが多かった。
 たとえば東京ビッグサイトや幕張メッセのような広大な会場でイベントを開催し、そこで交換した名刺をリード(見込み客リスト)として活用する、というイメージですね。
 ところがコロナ禍の到来により、イベントのほとんどは、オンラインに移行。その結果、予算やオペレーション、開催までの準備期間などのあらゆる面で、開催のハードルが下がったのです。
 さらにコロナ禍は、営業やマーケティングにおける文化も変えました。
 従来は、「オンラインでお客様をお呼びするなんて失礼だ」という感覚が、日本のビジネス界には少なからずあったと思います。ですが今では、その心理的ハードルがほとんどなくなりましたよね。
 こうした変化が起きた結果、これまでマーケティングの手段としてイベントなんて視野にも入れていなかった企業も、続々とイベント活用に乗り出しているというわけです。
 そして今まさに、リアル開催のイベントが復活してきた状況。
 リアルとオンラインのハイブリッドで開催することで、対面で濃い繋がりや熱量を生みながら、オンラインで気軽に接点を作れる。
 イベント市場の盛り上がりは、ここからが本番だと考えています。

乱立するイベント、どう差別化する?

──イベントのオンライン化が進んだことで、イベントの数自体も増えたと感じています。正直に言って、似通ったイベントが乱立している印象を受けることも。
菅澤 おっしゃる通り、イベント開催のハードルが下がった結果、イベントの数は爆発的に増加しました。イベントを差別化する難易度も高まっていると感じます。
 また、イベントの企画・集客・開催後のデータ分析などのスキルは、一朝一夕に習得できるものではありません。
 イベント活用を始めてはみたものの、その価値を最大限活かせていない企業は、少なくないと考えています。
 そんな課題を解決するのが、私たちが提供する「eventos」。イベント開催に必要な機能を揃えた、“オールインワン”のイベントプラットフォームです。
 イベントのウェブサイト、受付アプリ、来場申し込みから受付管理、ガイド情報、アンケート、ライブ配信など、さまざまな機能を網羅しています。
 単にプラットフォームを提供するだけではなく、イベントの企画から準備、実施から開催後のデータ分析に至るまで、イベントのプロがお客様に伴走し、イベントの成功に寄り添います。
 わかりやすく言い換えれば、理想の結婚式の実現のために伴走する、ウェディングプランナーのような存在かもしれませんね。
 eventosは、テクノロジーに強い点も特徴です。社員の7割以上がエンジニアで、私も元々エンジニア。
 イベント専門でここまでテクノロジーに特化している企業は、なかなか類を見ないのではないでしょうか。
──「デジタルテクノロジーがイベント制作に貢献する」という印象を、あまり持っていませんでした。具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
菅澤 最大のメリットは、カスタマイズの自由度を上げられること。
 社内にイベントに強いエンジニアがいるおかげで、オーダーメイドでゼロから作ったかのようなイベントサイトやアプリを開発できるのです。
 他社製品を含め、イベントプラットフォームは複数存在しますが、その多くが指定のフォーマットに必要事項を入力すると、自動でイベントサイトが作れるというもの。
 簡易的で便利な反面、オリジナリティを出しづらい短所もあります。
 一方で、さまざまなイベントが乱立する今、独自の世界観を築きたい他社とは違う面白いことをやりたい、というニーズは多い。eventosなら、その需要にしっかりと応えることができると自負しています。
 eventosは2022年度のグッドデザイン賞を受賞したのですが、そういった観点が評価されたのではないかと感じています。
bravesoftが主催したイベント「イベ博DAYS」専用アプリの画面イメージ。デザインに統一感を出せるほか、アーカイブ動画の閲覧やアンケートなどの項目を自由に設計することも可能だ。

イベントの可能性は無限大

──一方でイベント専任の担当者が所属する企業はまだ少なく、イベントがマーケティングの王道手法になるまでの道のりは、長いように感じてしまいます。
菅澤 イベントの活用の仕方は本当に無限大で、やり方次第でイベントの価値は何倍にも大きくなるんです。そこに気づけば、より多くの企業がイベントを開催するようになると考えています。
 まずは、イベントで獲得したリードの活用について。
 そもそも高い熱量を生み出しやすいイベントは、顧客とのエンゲージメントを高め、自社のファンを増やせることに強みがあります。
 つまり、「ファンマーケティング」と非常に相性が良いんですね。
 にもかかわらず、「一度アプローチしたら終わり」という風に、イベント参加者のリードを、短期的な視点でしか活用できていない例が非常に多い。
 もっと長期的な視点に立ってリードを活用すれば、何倍ものマーケティング効果を得られるはずなのです。
 eventosを使うことで、イベント後に「自社の顧客基盤の中で、どの方が参加してくれたのか」「イベントに参加してくださった方は、自社と過去に接点があったのか」などと参加者情報をきめ細かく分析し、自社DBに反映、蓄積していくことができます。
 そのように顧客情報が最新の情報にアップデートされる仕組みを整え、お客様と接点を持ち続けられれば、リードの価値はかなり高まるのではないでしょうか。
──なるほど。「イベントで単発のリードを獲得する」ではなく、「イベントで獲得したリードをDBに追加して、自社DBを拡充していく」という考え方なのですね。
岡元 ええ。さらに「コンテンツ資産」としても、イベントは存分に活用いただけると考えていて。
 そのわかりやすい事例に、私たちのお客様でもある伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が挙げられます。
 CTCは、過去に実施したイベントを動画にしてサイトにまとめ、動画オウンドメディアを運営しているんですね。
 そうすることで、単発のイベントでのリードにとどまらず、オウンドメディア経由で新たなリード、視聴数を獲得しているわけです。
 ここでもeventosを使えば、どのイベント参加者がオウンドメディアも見ているかといったデータも取得可能。エンゲージメントの高いお客様を抽出して、アプローチすることもできます。
 ぜひeventosを「コンテンツマーケティングのプラットフォーム」として使っていただき、イベントの集客にとどまらない効果を感じていただきたいですね。

“独りよがり”になっていないか

──NewsPicksが10月24日・25日に主催する「CHANGE to HOPE 2022」では、プラットフォームとしてeventosが使われます。どのようなイベントなのか紹介してください。
若林「CHANGE to HOPE 2022」は「変化は希望だ〜地球ビジネス・個人の希望を見つけ出す〜」をキャッチコピーに、変化から希望を見出すことをテーマに開催するビジネスフェスです。
 NewsPicksが今年7月から本社を構える東京・丸の内エリアを舞台に、5000人規模で開催する予定です。コンテンツ数は、2日間でなんと35個を予定しています。
ビル・ゲイツがもっとも尊敬する論客として知られる、知の巨人 スティーブン・ピンカー氏の基調講演をはじめとして、数々の豪華ゲストが登壇予定
 特にここ数年、これまでの世界の常識を一変させてしまうような暗いニュースが、本当に多かったと思います。
 深刻な問題を深刻に議論する場も、もちろん必要。ですが、暗い気持ちになっているだけでは、現状は変わりません。
 だからこそ、私たちはあえて「変化は希望だ」というメッセージを掲げ、新たな変化のきっかけとなる「希望」を見出したい。そう考えて、このイベントを企画しました。
──さまざまなビジネスカンファレンスが乱立する中、差別化の観点でどのような点を意識しているのでしょうか?
若林 常に気をつけているのは、 “独りよがりの発信”にしないことです。
 参加者が知りたい情報と、主催者が伝えたい情報の接合点を考え抜く。そうすることで、唯一無二のコンセプトが生まれると考えています。
 またデザインの面では、NewsPicksの世界観を明確に打ち出すことを意識しました。
 だからこそ、私たちが理想とするデザインをイベントサイトやアプリに落とし込めるカスタマイズ性は、eventosを採用する大きな決め手になりました。
 さらに、イベントのウェブサイトの開発から参加者データの管理、映像配信まで、あらゆる機能を備えている。
 普通はそれぞれ違う会社にお願いすることを一元管理でき、やりたいことが全て実現できる、そんな網羅性も非常に魅力的でしたね。
──実際に「CHANGE to HOPE 2022」では、eventosはどのように使われているのでしょうか?
岡元「CHANGE to HOPE 2022」に求められるほぼ全ての機能を、eventos上で開発したアプリに集約しています。
 参加者は、アプリ上で来場チケットを見せて入場。セッションが開催される場所や時間も、もちろんアプリ上で確認します。
 今回は、会場が複数に分かれていることもあるので、イベント会場の地図と参加者の位置情報を連動させる仕様にしました。
 オンラインでご視聴いただく場合も、アプリ上から好きなセッションをご覧いただけます。
若林 こういった実装の面で、プロフェッショナルの力を借りられるのは、本当にありがたいんです。
 私はNewsPicksのイベント担当ではありますが、たとえば配信システムの専門家というわけではありません。
 コロナ禍が始まった頃は、映像の専門知識も身につけなくてはと焦っていた時期もありました。ですがイベントの主催者として大事なのは、リアルでもオンラインでも、しっかりとコンセプトを定め、実現したいイベントの姿を描くこと。
 むしろその実装の部分は、外部のプロフェッショナルの力をお借りする。
 私たちが中途半端に専門知識を身につけるより、良いパートナーを見つけることの方が重要なのではないかと今では感じています。
菅澤 私たちにとっても「CHANGE to HOPE 2022」は、withコロナ時代における、新たなイベントの形への挑戦でもあります。
 コロナ禍を経て、良い意味でイベントの「型」が取り払われ、より自由にイベントのあり方を模索できるようになりました。イベント業界は今、本当に面白い時期だと感じています。
 コンテンツ資産としてのイベントの活用も含めれば、可能性は本当に無限大。これからも多くの企業の皆さんと一緒に、イベントの新たな境地を切り開いていきたいと考えています。