日本電産に疑惑、自社株買いに永守会長が関与か
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会社関係者のインサイダー取引規制違反を例にとると内部情報が外部公開される前に、内部情報を知りえる方が株式の取引を行うとインサイダー取引とみなされます。例えばM&Aが予定され、実行に伴い株価が上昇することが強く推測されるケースにおいて、対象企業の株式を取得するなどがそれにあたります。
具体的には、(1)自身が会社関係者であり、(2)その職務に関し重要事実を知っていて、(3)該当上場会社の代表取締役等またはそれに類する方が重要事実について定められている2つ以上の報道機関に公開して12時間以上の周知期間が経過する前に、(4)特定有価証券の売買等をしたことについての認識があれば、インサイダー取引(犯罪行為)として扱われます。
記事は、会長個人の日本電産株の取引の問題が指摘されているわけではないものの、自社株買い(流通する株式の数を縮小させる行為、その後消却すれば一株当たりの企業価値が上がり、株価上昇に貢献する経営財務戦略の一法)に自身が関与している形跡が疑われると指摘しています。
仮に上記インサイダー取引の基準に抵触している場合は、罪(金融商品取引法166条違反)に問われる可能性があると思います。この罰則は非常に重く、行為者に対して5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(または併科)、行為により得た財産は没収、行為を行った法人に対して5億円以下の罰金が科せられます。
しかしながら、自社株買いは「企業自身のインサイダー取引」を行わせてはいけないという観点から、代理人(信託銀行)を立てて代理人への一任決済(取引企業のインサイダー情報の遮断)がシステム的な要件となっています。本来この代理人がインサイダー取引になるような取引を行うはずはないのであって、これがインサイダーとなるならば信託銀行との共謀関係の存在が必要です。
したがって記事が指摘するような「犯罪レベルの不正行為」が行えるとは考えにくいのですが、犯罪にならない範囲で行う自社に有利な「自社株買い」の不誠実さが指摘される可能性であればありえると思います。インサイダー取引は、私服を肥やす意図があるかは関係ありませんね。
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「永守会長はストイックで、私腹を肥やしているわけではない」とかばってみせた
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インサイダー取引は、会社関係者が「未公表の重要事実を知って売買」すれば成立し、売買の動機はインサイダー取引の成否には関係ありません。利益が出るか、損になるかも関係ありません。売買自体がダメです。
この内容だけで、外形的に見ると、アウトでしょうね。決算発表直前なども含めて、本当に本人が具体的に指示していたのであれば。