(ブルームバーグ): 石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は、全体で日量200万バレルの生産枠削減で合意した。世界的な景気鈍化によって引き起こされた原油価格の下落に歯止めをかけることを目指す。

OPECプラスの減産規模としては、2020年以降で最大となるが、世界供給への影響はこうした削減幅の数字が示唆するよりも小さい見通しだ。複数のメンバー国では生産が割り当てられた生産枠を既に大きく下回っており、追加で減産することなく新たな削減を既に順守しているためだ。

とはいえ、高いエネルギーコストを主因とするインフレと既に闘っている世界経済に今回の決定は一段の打撃を与えるリスクがある。

9月の生産統計に基づいたブルームバーグの算出によれば、OPECプラスの生産目標である日量200万バレル削減を比例配分すると、実際に生産削減が必要になるのは8カ国だけで、実際の減産量は日量約88万バレルになる。

5日のロンドンICEの北海ブレント12月限は前日比1.57ドル高の1バレル=93.37ドル。一時は2.4%上げて2週間ぶり高値の93.96ドルを付ける場面もあった。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は、1.24ドル(1.4%)高の87.76ドルで終了した。

「OPECは90ドル前後の価格を望んでいる」と、ナイジェリアのシルバ石油資源相はOPECプラスの閣僚会合後に発言。その水準を下回ると、「一部の国が不安定化する」と語った。

イランのOPEC理事を務めるアミル・ホセイン・ザマニニア氏は会合後、日量200万バレルの減産は従来のOPECプラスの合意と同じベースラインで算出されると説明した。OPECプラスは今後、毎月会合を開くことはやめ、減産の実施状況を監督する共同閣僚監視委員会(JMMC)を2カ月ごとに開催すると述べた。

米大統領、減産は「不必要」

バイデン米大統領はOPECプラスが決定した日量200万バレルの減産計画について「不必要」だと主張。米政府当局者は石油備蓄からの追加放出があり得るとの認識を示した。

CNNによると、バイデン氏はフロリダ州のハリケーン被災地域を訪問するためホワイトハウスを出発する際、「詳細を見なければならないが、懸念している。(減産は)不必要だ」と述べた。

サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)とディース国家経済会議(NEC)委員長は発表文で、戦略石油備蓄(SPR)から11月に1000万バレルを追加放出すると表明。「米国の消費者を守りエネルギー安全保障を高めるため、適切な限り大統領はSPRの直接放出を続ける」と説明した。

(更新前の記事で第2段落の減産規模を2020年以降で最大に訂正済みです)

原題:

OPEC+ Agrees on 2 Million-Barrel-a-Day Cut to Output Limit (2)(抜粋)

Biden Calls OPEC+ Cut ‘Unnecessary,’ Signals New US Releases (1)(抜粋)

(第5段落に原油相場の動向を追加し、更新します)

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