デジタル給与払い「利用しない」が6割 電子マネー利用率9割超も
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来春解禁の「デジタル給与払い」についての認知度や利用意向調査の現時点断面として興味深い。利用意向がない人は6割とあるが、まだどのようなものか実感がない中でのこの結果は、むしろ利用意向のある人が4割もいるということの方がインパクトとしては大きいかも。
同アンケートの電子マネー決済の利用頻度を聞く設問で、「支払いの全てで利用(支払いの10割)」と回答した人が10.3%いるが、デジタル給与払いを「利用する」と回答した人が12.8%なので、ほぼ同じ割合。まさに資金の入りと出がマッチする人にはニーズがあるということなのでしょうか。実際の利用が始まってどうなるのかが気になります。
注目のコメント
これはそもそも、選択肢を増やす試みであり、例えば銀行口座を作りづらい外国人労働者の方や、非正規雇用の方たちへの1週間ごとあるいは日ごとの支払をしやすくするというものですから、いま銀行口座を持っていて、1カ月に1度の給料日で不便を感じていないという人の利用意向が低くても「やらない」という理由にはなりません。
不安を覚える方も多いので、初期は金額制限などもあってそれほど使い勝手の良いものにはなっていないように思いますが(その点はバランスの問題なので、規制改革会議の議論に参加した立場としても忸怩たる思いはあります)、選択肢が開かれることで、現金を取り扱うことのコストや不便を取り除いていくことになればと期待します。振り返ると今では当たり前である給与振込も、昭和40年代初めに「企業の合理化意識の高まり、給与所得者の意識の変化、銀行の積極的な推進などにより、ようやく給与振込が一般化し始めていた。」(横浜銀行六十年史)といった経緯がありました。
<少子高齢化による外国人労働者受け入れについて>
一方で、デジタル給与払いを利用する4割のたニーズには、外国人労働者との関わりがあります。
この度の厚生労働省が進める「資金移動業者の口座への賃金支払について」議論されており ”外国人が我が国で生活していくに当たっては、家賃や公共料金の支払、賃金の受領等の様々な場面において、金融機関の口座を利用することが必要となることから、外国人が円滑に銀行口座を開設できるようにするための取組を進めていく必要がある。” といった課題が挙げられました。
つまり、外国人労働者が日本で働くにあたり、稼いだお金を本国へ送金することが必要となりますが、銀行口座の開設は高いハードルとなっております。
このような外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策は、日本の政策に影響を与えていることから、日本の置かれた状況を改めて考える必要があると感じます。