円下落、145円台前半に 日銀介入の9月22日以来
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為替市場全体を見渡した時にポンド売りが和らいだのと入れ替えで…という印象もあります。いずれにせよ金利と需給で単純比較された時に最も分が悪い通貨である現状は全く変わっておりません。
なお、春になれば自動的に終わるでしょ、のような見立てが流行っていることが最近気になります。そうかもしれませんが、低ボラと十分な金利差が残る世界で円高になるメカニズムは為替市場が長い人ほど想像できないと思います。
近刊では過去2年にわたる円安について極力バランス感覚をもって解説させて頂いております。ご参考になれば幸いでございます。
「強い円」はどこへ行ったのか (日経プレミアシリーズ)
https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%BC%B7%E3%81%84%E5%86%86%E3%80%8D%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%B8%E8%A1%8C%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B-%E6%97%A5%E7%B5%8C%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E5%94%90%E9%8E%8C%E5%A4%A7%E8%BC%94/dp/4296115065/ref=sr_1_1?crid=2Y8A00WENIR8T&keywords=%E5%BC%B7%E3%81%84%E5%86%86&qid=1663550469&sprefix=%2Caps%2C720&sr=8-1145円を超えたところで大方の予想に反して行った前回の介入が抑止力になるのは間違いないでしょうが、金利を抑制するため無制限に円を供給して価値を毀損し続けると日銀が実態的に宣言し、インフレへの不満を抑えるため政府が借金して円をばら撒く円安策を続けていますから、介入しても遠からず円安方向に押し戻されるのは当然予想されるところです。特に驚くほどのことではありません。
政府は過度な変動に適切な対応を取ると繰り返していますから、145円を大きく超える円安を放置すれば神通力が薄れます。今度はどの辺りでどの程度介入するものか・・・
とはいえ介入しても押し戻されるのは多分同じです。投機筋にとってこれほど分かりやすい環境はありません。政府が介入して高くなった瞬間に円を売り、145円に向けて安くなったところで買い戻せば確実に稼げますからね。
米国が積極的に協力してくれるわけでない状況下、180兆円の外貨準備がすべて使えるわけでなく、当面の介入原資はせいぜい20兆円といったところです。すでに3兆円近く使っていますから、介入するたび限界が近づきます。介入効果が落ちて行き、やがて底が抜けたら大変です。
投機的な動きだけならいずれ反転することも期待できますが、政府が巨額の国債を発行して日銀がそれを買う政策は、中長期的に国力を落とし円安を招きインフレ圧力を高めます。そこから生まれる円の実力低下は避けようがありません。当然そうなると前々から思い続けて来たけれど、いよいよ現実味が増して来た。10年に及ぶ異常な金融緩和で日本経済の随所に歪がたまり、ハードランディングを覚悟せぬ限り、金利を上げて円安に対処することはできません。国内で働き、円で給料を受け取るほかない庶民にとって、辛い話でありますね (/_;)