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ヘッドラインだけを見ると雇用環境は改善していそうですが、詳細を見るとそうでもありません。
というのも、有効求人倍率の先行指標とされる新規求人倍率は季節調整済み前月比で▲0.08ポイント下がってます。
また、労働力調査を見ても、就業者数が季節調整済み前月比で▲4万人と2カ月連続で減っており、今回の失業率の低下はあくまで労働参加率の低下によるものだからです。
このように、雇用関連統計を見る場合は、ヘッドラインだけではなく、詳細も見る必要があるでしょう。
ILOによれば、2020年のG7の就業率は次の通りです。
日本    60.26%
イギリス  59.99%
ドイツ   59.25%
カナダ   57.96%
米国    55.98%
フランス  50.16%
イタリア  44.07%
働き易い環境を作って働き方に制約のある女性や高齢者も働く仕組みにしたことで、15歳以上の人口に占める働く人の割合は、主要7か国トップでトップになりました。コロナ禍中で雇用調整助成金を払って失業させなかった影響が2020年はあるものの、いずれにしても、日本の就業率が高いことは間違いなさそうです。
生産年齢人口が減少を続ける日本ゆえ、失業率はコロナ禍前まで一貫して下げ続け、有効求人倍率も一貫して上げ続けました。こうした傾向は、アベノミクスが始まるずっと前から続いているのです。コロナ禍で失業率の低下と有効求人倍率の上昇は反転して一旦止まりましたが、8月は、失業率は働きたい人が全て働ける完全雇用状態とされる3%を下回る2.5%に“改善”し、有効求人倍率も1.32倍まで戻したわけですね。働ける人が全て働く状況になったのに日本が引き続き労働力不足にあることは、こうした数値の動きを見れば明らかです。
そうであるにも拘わらず、日本の実質賃金は下がり続けています。裁判所の整理解雇の4原則、労働契約法による制約、雇用調整助成金の支払い等々で労働力の移動を制約し、企業間・産業間でも働き手の間でも市場競争が働かず、共に低賃金に甘んじざるを得ない状況が生まれているからでしょう。単に賃金が上がらないという現象だけにとどまらず、これは日本の経済構造の新陳代謝を遅らせ国民、企業、政府の全てを貧しくするだけに由々しき問題です。
折角失業率も有効求人倍率も高いのです。雇用の仕組みを見直し賃金が自ずと底上げされる状況を作り出す必要がありそうと、改めて感じます。
グローバル経済の先行きがリセッション懸念となっていますので、過度に楽観はできません
また雇用は企業があってこそであり、金利状況で急変しうるものであることは海外の情勢が示す通りです