2022/9/30
【波紋】最悪、逮捕も。ドイツで進む「ヘイト投稿」の厳罰化
INDEX
- デマをシェアしただけでも…
- 数十万円相当の罰金から禁固刑も
- 転機となった銃撃事件
- 多忙を極めるネット警察
- 匿名の発信者を突き止めろ
- 声を上げる被害者たち
- 表現規制への懸念も
デマをシェアしただけでも…
ドイツ北西部のある住宅。夜明け前に警察が玄関ドアをたたくと、ボクサーパンツ姿の寝ぼけ眼の青年が出てきた。
警察が訪ねてきたのは、51歳になる青年の父親だったが、父親はすでに仕事に出ていた。
警察は、父親がネット上でのヘイトスピーチや侮辱、偽情報を禁じる法律違反により訴追されたことを青年に告げた。
青年の父親は、「レイプや強盗、重犯罪を犯した程度では、国外追放の理由にはならない」と書かれた画像をフェイスブックでシェアしていた。
この画像は、「移民支持派」の政治家を攻撃する目的で、その政治家の発言として捏造されたものだ。
検察によれば、警察は30分ほどその家を捜索し、証拠としてノートパソコンとタブレットを押収した。
この捜査が行われた3月、ドイツ全土の約100軒の住宅で同じような光景が繰り広げられていた。全国的な一斉取り締まりは現在も継続中だ。
フェイスブックで拡散しているデマやヘイト投稿を不用意にもシェアした人々は、コンピュータや携帯電話を没収され、一部は罰金を科される羽目になった。
連邦刑事庁のホルガー・ミュンヒ長官は3月の捜査後、こう述べている。
「はっきり言っておくが、ヘイトメッセージの投稿者は、警察が自宅までやってくることを覚悟すべきだ」