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中間段階の治験では、設定していた目標の一つであるコロナに特徴的な12症状すべての改善が確認できなかった。新型コロナは株によって症状の出方が異なることから、最終段階の治験では、症状改善効果を評価するのではなく、症状消失までの時間を比較する目標設定をしていた。
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臨床的に効果がみられたのは、「COVID-19の12症状のうち、5症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさまたは発熱、けん怠感 (疲労感)の消失までの時間が、プラセボ群と比較して約24時間短縮された」という部分です。(症状消失までの時間の中央値は、本薬の申請用量投与群では167.9時間、プラセボ群では192.2時間)

つまり、服用すればのどの痛みや咳などの5症状については、服用しない場合に比べて24時間早く症状が消えるという内容ですが、オミクロン株流行時期の臨床試験で、臨床的にこの部分にしか明確な効果は見られていません。

今回の成績は解析対象症例が先の集計時点428例から今回1821例に増えた結果、統計的な差異がみられるようになったとの好意的な見方もできますが、そもそも前回の主要評価項目の項目が変えられています。

実際のところは、先の集計時点(428例)までの集計データをみて、主要評価項目を設定しなおし、かつ先の集計時点のデータを集計に含めているという手法に見受けられ、「途中経過をみて、その時点での予想に基づき、結果を出しやすい目標を設定した」と判断されることになると思います。

医薬品の臨床開発のスタンダードな方法としては、途中でゴールポストを動かすことはせず、1から試験をすることが普通です。したがって、科学的な判断が求めらえる審議会にて、この主要評価項目でよいのかという点が争点になり、今後の承認審議を通過するかは、引き続き微妙かもしれません。

前回報告された中間集計までの成績は以下の通りで、事前に設定された目標値で統計学的に有意な成績が出ていないため、承認は保留になっていました。

「塩野義コロナ飲み薬、承認見送り『改めて審議』、厚労省分科会」(共同通信 2022年7月20日)
https://newspicks.com/news/7339156?ref=user_1310166

医薬品の試験では、事後的に統計的に差異が出た望ましい項目があったとしても、「たまたま」の部分を無理に探したとみなされ、通常このケースでは高い評価にはなりません。ほとんどの場合「承認が見送られる」ことを意味します。
医薬品と臨床検査薬・機器の製造を行う。感染症と疼痛・神経をコア疾患領域とし、新製品開発に注力。創薬による成長を目指す。
時価総額
2.38 兆円

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