【衝撃】アカデミアで横行する大量雇い止めとやりがい搾取
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10年の間で成果をあげて国内の大学や別の研究機関で任期なしのポストが得られればよいですが、簡単ではありません。この20年で国内のポストがかなり減ってきているのと、4〜50代だと公募が出ても年齢制限で応募すらできないというのが実情でしょう。国内に需要がないなら海外へというのはその通りなのですが、アメリカやヨーロッパも含めて任期があるポストはそれなりに多いですが、当然ですがどこの国でも任期なしのポストを獲得するのはそれほど簡単ではありません。また、分野によっては世界中から応募がくるので、国内での競争とは一味違うという事情があります。
「やりがい搾取」も「雇い止めも」、研究業界だけにはとどまらず、日本でそういう雇用形態が増えてきた結果、研究業界にも波及してきた、ともいえます。
一例としては、アニメ制作会社、図書館司書、博物館学芸員なども、よく似た話を見聞きします。フリーランスのライターなどもそういう場合が多いのではないでしょうか。
研究は、ジェネラリストの産業ではなく、典型的なスペシャリストの産業です。
会計士とか税理士とかの士業と比べても、なおスペシャリストで、つまり、この人のやっている研究をそのまま引き継げる人は、日本にはおらず、世界中を探しても5人しかいない、といった場合があります。
替えがきかない以上、雇い止めにすると研究プロジェクトは止まり、出るはずだった研究成果も出なくなります。
ある研究者を雇い止めにするかどうかの判断を個別にすることは難しく、実際ほとんどされていません。その研究者の研究内容を理解できるのが世界中に5人とかしかいなかったりするからです。研究所の所長でもわからない場合が多いし、ましてや文部科学省の官僚にわかるわけがありません。せいぜい、書いた論文の本数を数えるくらいしかできません。
科学というのは、ごく最近までは、王侯貴族か、さもなくば教会がスポンサーで、理解はできなくても鷹揚に金は出す、という環境で発展してきました。
近代国家と資本主義の発達により、この環境はなくなりましたが、現代の環境でどのようにすれば科学の研究が進みやすくなるのか、は、まだ答えが出ていません。
一番ありそうなのは、グーグルとかファーウェイとかが、数学でも物理学でも心理学でも歴史学でも、1000に1つ当たりが出ればいいくらいの勢いで膨大な数の研究者に研究をやらせて、そこから生まれる知的財産を独占する、といった世界でしょうか。親が研究者だったので首がもげるほど頷いてしまいました。
自分の親だけかもしれませんが、研究者は「綱渡りのような人生」を歩んでいます。
「いつクビになるか分からない」「クビになった後、再就職先もない」という不安を常に抱えています。
大学のポストの採用倍率も高く、優秀な人材が殺到したりします。単純にアカデミアにお金がなく、ポストも増やせないのでしょう。
そんな過酷な状況でも日本の未来のために日々闘っている人達がいる、ということを多くの人に認知して欲しいなと思いました。
若手の研究者の方々は、日本の誇りであり希望です。
そのような方々へのリスペクトは絶対忘れないようににしようと思います。