ロシア、拘束した日本領事を釈放・国外退去に 松野官房長官は非難
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高度センシティブ情報の収集を外交官や領事が行うこと(行わざるを得ないこと)自体が日本の情報収集体制の問題です。インテリジェンス専門の機関を作る必要性があると思います。情報機関は友好国であっても機微情報を収集していることは暗黙の了解。そのため、何らかの活動が露見した場合でも情報機関同士での落としどころがあります。外交官と領事は、いわゆる「表」の活動です。
対外情報機関が存在しないにも関わらず、センシティブ度の高い情報収集をせよ、という一部の見方には長年疑問を持っています。経済政策や一般内政、一般的な政策動向については、外交官や領事が情報収集することは一般的ですが(これでも本気になってやり込めば相当な情報)、軍事や特定政治家に関わる機微情報、その他当該国の機微案件については、基本的にインテリジェンス機関が中心に情報収集をすべきことと思います。
対外情報機関は、外交活動における外交ルートと、別に存在しながらも両輪です。戦後の日本は、片輪走行をずっと続けている状況です。故町村氏の対外情報庁構想を今一度表に出し、設置に向けた動きを進めるべきこと思います。(なお、NSCは「表」です。内閣情報調査室も組織上、限界があります。大幅改組するか新しく作り直すか、です。)
なお、他の方のコメントにもありますが、領事も領事関係ウイーン条約で基本的には不逮捕特権があると考え、例外的な場合(重大犯罪)には適用されないと考えることが国際法と慣習上は一般的です。外交官だけではありません。ロシアにその考え方が通用するかは別の話で、本件はロシアにとっては重大犯罪と位置付けることもできるでしょう。結論として逮捕されたから同じではないか、ではなく、原則と例外は大きな違いです。
注目のコメント
「自白」の映像を見ると領事はロシア国内の写真撮影行為が問題視されているようです。極東軍管区の動向を探っていたのかもしれません。事実ならばこの領事はしっかりと任務を果たしていたことになります。本来外交官は条約で逮捕されない権限を持っていますが、領事館員には明確にありません。ロシアはそのあたりを突いてきたのでしょう。こうした「人質外交」に対抗するには、「人質交換」つまり、日本側もロシアの領事を拘束するしかありません。そのためにはインテリジェンスの強化や法整備が急がれます。
開戦以来、ロシアは欧米諸国と、外交官の国外退去合戦を続けているので、日本もその対象になるのは以外ではありません。
気になるのは、ロシア側の主張する国外退去の根拠が、日本人領事を「拘束して取り調べの結果自白した」というところです。
どの程度の取り調べが為されたのかは、気になるところです。
また、ロシア側は、この領事の「自白」や日頃から尾行していた際に撮影した動画を、国営通信社から公開しています。
https://twitter.com/i/status/1574420589053460481
在ウラジオストク日本総領事館の外交官を拘束…ロシア連邦保安局、スパイ容疑で
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220927-OYT1T50019/外交官の逮捕追放というのは、国家間関係のレベルでは結構な緊張関係ということになるが、制裁を発動した時点で「非友好国」認定されている以上、こうした緊張関係のエスカレーションはさらに進むだろうな…。