FRBが3回連続0.75%利上げ、年内もう一段 「制約的」水準維持へ
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既に配信したレポートでも触れましたが、年内の利上げに関しては、さらに100bpとするのか、125bpとするのかで、FOMCメンバーの見方は完全に二分されました。さらに言えば、来年の最高到達点についても、4.375%、4.625%、4.875%の三つにきれいに分かれています。
同時に公表したインフレ見通しも全期間に亘って小幅な上方修正に止まった点を踏まえると、FRBの政策対応もインフレ加速対する緊急対応モードからは脱却しつつあるように見えます。
もちろん、今後もインフレには上方リスクが残りますが、Powell議長が質疑応答で示唆したように、インフレ期待が上振れせず、労働供給も復活して賃金上昇が抑制されるようであれば、来年後半も高水準の政策金利を維持する必要性は低下する可能性があります。今回の利上げ幅というよりも、ドットチャートの上方修正幅が予想以上でした。
通常、ここまで長短金利差マイナスになると、相当な確率で米景気後退になるとの見方でしょう。金利をコントロールの対象にしている点で、対象を資金量に切り換えて金利を上がるに任せた1980年前後のボルカー議長のインフレ対策よりまだしも穏やかですが、FRBの決意のほどはそれに近くなって来たように感じます。あの時は影響が世界に及んで米国がリセッションに陥るのみならず中南米諸国が相次いで破綻する事態になりました。1970年代を通じ、インフレが小康状態になったり景気が後退したりするたび引き締めの手を緩めるストップ・アンド・ゴーを繰り返し、インフレ期待を定着させてしまったことが要因でした。あの時代を振り返ると、FRBが早期に強めの手を打ってインフレ期待を一気に抑え込もうとするのも分かるような気がします。
インフレ期待に火が付くと、抑え込むのは大変です。インフレ目標はもともとインフレを抑えるためのもので、金融政策で思い通りの水準に高めて固定することは難しい。予てから言われていたことですが、今回の出来事でそれがはっきりしたように感じます。インフレに陥って日は浅いので、FRBの抑制策が機能して軟着陸することを念じるばかりです。どこまで金利を上げれば落ち着くか、過去の経験に照らせば神のみぞ知るじゃないのかな・・・ (・・;