[ドバイ 20日 ロイター] - サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は20日、世界的なエネルギー危機について、エネルギー料金に上限を設定したり、エネルギー企業に課税する欧州の危機対策は長期的に有効な解決策ではないと述べた。

スイスのフォーラムで「エネルギー料金の凍結や上限設定は短期的には消費者にプラスかもしれないが、根本原因に対処しておらず、長期的な解決策とは言えない」と指摘。「増産が求められている時に企業に課税するのは明らかに有効ではない」と述べた。

欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長は14日、エネルギー価格高対策として、低コストの発電事業者の収入に上限を設けたり、化石燃料企業にはエネルギー価格高騰で得た利益を分配させる措置を提案すると述べた。

同CEOは、化石燃料の代替エネルギーが十分に確保できていない状況で炭化水素への投資不足が続いていることが根本原因だと指摘。

「ウクライナ紛争で確かにエネルギー危機の影響が広がったが、紛争は根本原因ではない。残念ながら、誰もが願うように紛争が今日終了しても危機は終わらない」と述べた。

アラムコは2027年までにサウジの石油生産能力を日量1300万バレルに増やすため、投資を進めているが、同CEOは炭化水素への投資は世界的に見て「少な過ぎ、遅過ぎ、短期的過ぎる」と指摘。

余剰生産能力が乏しい中で投資が不足しており、経済に強い逆風が吹いているにもかかわらず、需要は「かなり健全」だとし「世界経済が回復すれば、需要はさらに増加し、乏しい石油の余剰生産応力がなくなる。だからこそ、私は真剣に懸念している」と述べた。