｢実写版リトル･マーメイド｣日本人が批判のなぜ
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「アニメのアリエルは白人だったのだからアリエルっぽい白人に演じて欲しい」と考えるのは、ディズニーがつくった「アリエルが白人だった作品」が判断のものさしになっていることを意味します。そして、そのものさしは人為的に作られた、かなり限定的なものです。
実写版でも白人俳優に演じて欲しいと思うことそれ自体が悪いわけではなく、ただ自分の価値観が何によって作られたかをどれだけ引いた目で見られるかが大事なのだと思います。
注目のコメント
原作に則るなら、デンマークの児童書がモチーフなのでアリエルは白人であるべきでしょう。しかし、それでも黒人を起用するディズニーを支持します。
擁護側に足らない視点は、差別を受けてきた歴史が未だ切り離せずにいる現実。祖父は雇用主の娘と目が合っただけでむごたらしく殺され、親は貧困から薬物取引に手を染め、自分は冤罪で殺され自分を撃った警官は無罪。そんなストーリーは検証する余地なく実在します。
そんなハードすぎる現実を生きるアフリカ系アメリカン人において、無意識のうちに根付けられた自己イメージを子供の頃から書き換える意味でも期待しています。それに、黒人の子供たちのリアクション動画とかを見ると、ののかちゃんくらいの年齢の子供でも黒人のアリエルに笑顔になり、中には泣いてしまう様子から、あの子たちの感動を守ってあげたい思いが強くなります。
自分の過ちではなく、主に西欧諸国に搾取された挙げ句差別を受け続けている黒人たち。かなり雑な例えかもしれませんが、彼らをクラスで虐められている子と例えると、次の学芸会ではその子に主役を任せてクラスの立ち位置と自信を取り戻させる時があっても、良くないですか？「これをポリコレというならば、いっそポリコレの鬼にでもなってみせましょう」と言わんばかりのディズニーの姿勢は世界的大企業と思えないほどに挑戦的です。昨今のマーベル作品にも特にその流れは顕著です。そして上記のような、事実を明け透けに話せないとき、「人魚姫はフィクションだから」というピースがハマります。
ディズニーには過去の“マイ・アリエル”に固執する大人たちを自ら置き去りにしても、30年後の未来をより良くしてほしい。ディズニーならその影響力を持てる。
「自分の大切な思い出を守るより、誰かの痛みに寄り添ってあげて」なんて考えていると、コロナを信じない人やトランプ支持者、BLMが起きた2020年はまだ続いてるんだなぁと認識させられます。肌が黒いアリエルを批判する人は自分が「あなたは生まれが〇〇だから出世なんでできるわけない。私は出世する人にあなたのような人をイメージできない」と言われて自然に受け入れられるのかな。自分が何かを選びたい立場の時に、人から勝手なイメージだけで否定されたり道を断たれたりすることを想像できてないのではないかと感じます。
舞台では日系人がアリエルをやっているし、伝統が強そうなイメージのバレエの世界でも日本人が活躍していますが、かつてはそうではない世界があったわけです。映画の世界では肌の色でまだまだ差別が公然と横行していて、自由のない世界なんだということですね。
性別で選挙権が得られない時代があったのが明らかに間違いだったと今では多くの人が感じていると思いますが、振り返って考えると明らかな間違いでも、当時の人がいかにそう思っていなかったということをリアルに知ることができるコメント欄です。ファンの意見は総じて「ジェンダーも人種も大事なのはわかっているけど、プリンセスやヒーローはそれから切り離して考えてほしい」ということだと思います。
こちら（https://newspicks.com/news/6985260?ref=user_5734021）の記事にコメントしたものですが、そういうことだと思います。
一方で、ネットで出回っているハリー・ベイリーの歌唱シーンを観ましたが、歌唱力に関しては完全にアニメ版のアリエルのそれに匹敵するものであることも頭ごなしに批判しにくい原因となっているのだと思います。オリジナルと比べて歌唱力が劣っていれば歌が上手いことがアイデンティティの一つであるアリエルの配役に歌が下手な人を起用するとは何事だ！となっていた気がします。
ちょうどアメリカでも白人がいいという議論は起こっていて友人と話したこともありましたが確かに！と思わされることを言われたので紹介しておきます。
「そもそも人魚って人間と違うから人種があるか怪しい。」
これに尽きると思わされました。
