[ロンドン 12日 ロイター] - 官民連合の世界エイズ・結核・マラリア対策基金(ジュネーブ)が12日発表した2022年報告書によると、世界でエイズや結核やマラリアの治療や予防措置を受けられた人数はコロナ禍が本格化した2020年に約20年ぶりに減少した後、昨年は増加したものの、コロナ前の水準はまだ回復していない。

結核の治療を受けた人数は20年に19%減って450万人になった後、昨年は12%増えて530万人になった。それでもコロナ禍前の550万人は下回っている。また、マラリアとエイズではコロナ前の19年水準を上回ったが、こうした疾病を30年までに根絶する目標への道筋はコロナ禍で狂ったままだとした。

世界エイズ・結核・マラリア対策基金のピーター・サンズ代表は先週、ロイターに対し「昨年は大半の国で20年の大混乱からめざましい回復が見られたが、世界はまだ必要な水準には達していない。今なお余りに多くの人がこうした病気で亡くなっている」と語った。

サンズ氏は、世界的な食料危機がロシアのウクライナ侵攻でさらに悪化している影響も指摘。栄養不良で体が弱っていると感染症の致死率が大きく上がりやすく、治療や予防の効果も出にくくなると懸念を示した。同基金がこれまで以上に栄養面の支援を多く提供できるよう、協力者らと努力していく必要があるとも強調した。