中国の監視国家モデル、相反する二つの顔
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「リトル・リバー・ストリートにあるシティー・アイ」というのは、杭州市拱墅区小河街道の城市眼、ということでしょうが、こういうグリッド・マネジメント(網格化管理)みたいなのは、監視カメラとAIがあるだけではだめで、住民の組織化が必須です。
中国共産党の草の根レベルまで地域、職場、学校に張りめぐらされた委員会、住民組織である社区が日常的に動くことで、スマートシティを機能させることができます。
杭州であれ、新疆ウイグル自治区であれ、住民組織がグリッド・マネジメントと組み合わされて機能しますが、杭州には元から協力的な住民組織があり、新疆ウイグル自治区では住民が協力的ではないので、収容施設に入れたり脅迫して管理動員している、ということでしょう。
スマートシティといっても、むしろスマートシティだからこそ、住民が協力しないと機能しないのは、世界中で共通でしょう。
自動運転であれ、生体認証であれ、住民が使わなければ、それは機能しません。
中国の健康アプリが機能して、日本でCOCOAが機能しないのも、技術力の差とかよりも、日本人で積極的にダウンロードする人が少なくて、強制する仕組みが無いからでしょう。
そういう意味では、技術を生かそうとすれば、大多数の人間がそれを使用することなくしては不可能です。それが自発的なものか(そのように見えるか)、強制されたものか(そのように感じるか)、という主観の問題ではあります。
デジタル時代に先手を打つ統治の手法
中国が展開する「グリッド・マネジメント」とは何か?
https://wisdom.nec.com/ja/series/tanaka/2021012701/index.html
https://www.hikvision.com/cn/solutions/Goverment-Affair-and-livelihood-of-people/xiaohe-Street/「嫌われ者」が「尊敬の対象」へーー。
中国杭州は世界の先端をいくスマートシティ。ここでは、監視カメラとAI技術が行方不明の子どもを発見したり、市内のいざこざ収拾に一役買っています。
現場の先頭に立つのが「城管」と呼ばれる存在で、かつては露天商などを乱暴に扱う様子などがネットに流れ、市民の嫌われ者だったそう。それが、今では市の安全を守る尊敬すべき対象へと変わってきました。
当初は、国による監視に反発してきた市民も、徐々に監視による安全で快適な生活を積極的に受け入れるように変化している様子を知ると、複雑な心境になります。
便利さと不便さは紙一重。管理社会の安全性や快適さも、使われ方次第では、危険と恐怖に変わります。
何でも見えてしまう社会になったら、居心地の悪さや日常的な緊張を強いられるのかなと怖くなりますが、それも最初だけで、慣れてしまうと何も感じなくなるのかもしれません。
ゆとりのある社会、自由な社会を守るためにも、最初のルールづくりは慎重に進めなければいけないと感じます。中国では伝統的に、為政者(「天子」)が「天」の代わりに地上を治めるという観念があります。
現代では共産党政権が「天」になり代わって、小さな悪でも必ず見逃さない(「積不善之家必有餘殃」)という摂理を力づくで実現しようとしているのでしょう。
そういえば、このような監視システムを「天網」といいます。
出典は『老子』七十三章「天網恢恢疏而不失」(天の網は広く行き渡り、粗いようだが人々の行いを見逃さない)です。
やはり「天」を意識しているようです。